列車衝突時の車内安全性評価のための人体有限要素モデルの構築

列車衝突事故発生時の被害軽減対策検討のため、衝突シミュレーション手法の確立を目指しています。このシミュレーションにおいて、様々な方向からの衝撃を評価可能で、立ち座りの姿勢を変更可能な、日本人の体格に合致した人体有限要素モデル(人体モデル)を構築しました。

列車衝突事故発生時の被害軽減対策検討のため、衝突シミュレーション手法の確立を目指しています。このシミュレーションにおいて、様々な方向からの衝撃を評価可能で、立ち座りの姿勢を変更可能な、日本人の体格に合致した人体有限要素モデル(人体モデル)を構築しました(図1)。

図1 人体モデルの特徴

従来の人体ダミーモデル(ダミーモデル)は立位用、着座前面衝突用と着座側面衝突用と複数のタイプがあり、それぞれ姿勢が異なり、評価できる衝撃方向が限定されます。そのため、列車内の旅客の姿勢や向きなどの多様性に対応できない場面がありました。また、ダミーモデルは欧米人体格であることから、衝撃する車内設備の位置が日本人と異なる等、国内の車内設備を対象とする評価や対策の寸法検討には難がありました。構築した人体モデルは、これらの問題を解決します。

人体モデルと着座前面衝突用ダミーモデルを、クロスシートのテーブルに対して正面、斜めおよび横方向に着座させ、それぞれについて衝突シミュレーションを実施しました(図2)。全条件で、人体胸部にテーブルが衝撃し、乗客が倒れこむ挙動が見られました。衝撃時に出力される最大胸部変位を比較すると、ダミーモデルは衝撃方向によって傷害を過小評価しましたが、人体モデルは全方位からの衝撃による傷害評価が可能です(図3)。

図2 衝突シミュレーション例(人体モデル)
図3 最大胸部変位の比較

クロスシート乗客に対する衝突シミュレーション実施しました。クロスシート背面に衝突する挙動がみられ(図4)、頭部が衝突した床面からの高さを比較すると、米国人体格より日本人体格が約40mm低い位置でした(図5)。どの位置に衝突するかが分かれば、車内設備を対象とした適正な寸法検討が可能です。

図4 衝突シミュレーション例(日本人体格)
図5 頭部衝突高さの比較5

本モデルを活用した衝突シミュレーションにより、 従来のダミーモデルではできなかった、列車内特有の様々な状況における傷害評価や、日本人に適した車内設備の寸法検討が可能です。

関連ページ

PAGE TOP