高密度地震観測システムを用いた連続する高架橋の地震時挙動の解明

現在の鉄道構造物の耐震設計では、主に数値解析が用いられていますが、解析の結果が有する精度や信頼性については十分に評価、把握ができていません。

また、隣接する高架橋の地震時挙動が一様でないために、高架橋間には角折れ・目違いが発生し、車両の走行性に大きな影響を与えることが分かっていますが、この角折れ・目違いの大きさを実高架橋、実地震に対して計測した例はほとんどありませんでした。

そこで、観測記録のみから連続する高架橋の地震時挙動を詳細に分析するとともに、数値計算の精度を検証する際に必要な地震観測データを収集することを目的とした、地中‐地表‐高架橋群の高密度地震観測システムを構築し、2012年度より運用を開始しました(図1、図2)。

本システムの大きな特徴としては、入力地震動から地盤、高架橋応答までを高精度に計測(図3)しているだけでなく、連続する高架橋群に対して高密度に同時地震観測を実施することで、角折れ、目違い量の直接計測を可能としている点が挙げられます。

参考文献

  1. 坂井公俊、本山紘希、室野剛隆:高架橋の高密度地震観測システムの開発と運用、JREA、Vol.56、No.6、pp.7-10、2013
  2. 坂井公俊、本山紘希、室野剛隆、盛川仁、荒木正之、浦口尚貴:鉄道高架橋の地震時不同変位の直接計測のための高密度地震観測システムの構築、土木学会第68回年次学術講演会概要集、2013