制震ダンパーによる地震対策工法

河川橋脚や店舗利用高架橋などで、周辺環境等の制約によりRC巻立て等の一般的な耐震補強の実施が困難な場合、制震ダンパーを用いた部分的な工事のみで大幅な耐震性の向上が可能です。このような補強を行う制震ダンパーの設計法と設計手引きを作成しました。

河川橋脚などにおいて、周辺環境等の制約によりコンクリート巻き立て等の一般的な耐震補強の実施が困難な箇所では、制震ダンパーなどの制震装置を用いることで、橋脚上部に対する部分的な工事のみで大幅な耐震性の向上が可能です(図1)。しかし、これまで構造物に制震装置を適用する際の設計法は整備されていないため、個別に多数の詳細な動的解析を実施する必要があり、多大な時間と労力を必要としていました。

そこで、こうした詳細な動的解析を行うことなく、制震ダンパーの設計荷重や構造物の損傷程度を算定可能な設計線図を提案しました(図2)。この設計線図は、構造物の固有周期、降伏震度、地盤条件、地震動最大加速度など、設計で得られる基本特性から、構造物を所定の応答塑性率以下に留めるために必要な制震装置の特性を算定できます(図3)。制震ダンパーとしては、鉄道橋での使用実績が多い摩擦型履歴を有するダンパーの使用を想定しています。

また、この設計線図の適用例として、図1のような固定~可動構造を有する実橋梁を対象として、河川部橋脚基部の最大応答塑性率を1以下(弾性範囲)に留めるための制震ダンパーの必要荷重を設計線図から算定して動的解析を実施しました。その結果、橋脚基部の最大応答塑性率が、無対策の場合の5.8に対して、制震ダンパーを導入することで0.9まで低減することが可能であり(図4)、制震ダンパーにより大幅な応答低減効果が得られることを確認しました。

さらに、この設計線図をはじめ、制震補強が基礎の損傷に与える影響や取付部の照査法など、設計上のポイントをとりまとめ、制震ダンパーの設計手引きと計算例を作成しました(図5)。これにより、補強困難な箇所への耐震補強法として制震ダンパーを用いる場合、この設計手引きや計算例を参照して制震ダンパーの設計を行うことが可能です。

図1 制震ダンパーの適用が想定される構造
図2 制震ダンパー設計線図
図3 制震ダンパー設計線図に必要なパラメータ
図4 実橋梁の動的解析例(橋脚基部曲げモーメント応答)
図5 制震ダンパー設計手引きの概要

参考文献

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