光ファイバ温度センサによる極低温機器内部温度測定の基礎的研究

浮上式鉄道への応用を目標に、光ファイバを用いた高温超電導磁石用温度センサの開発を進めています。

1.光ファイバ温度センサの開発

超電導磁石をはじめとした極低温機器内部の状態監視を常に行うことが可能になれば、故障を事前に検知して影響の少ないうちに運用停止、機器交換するなど、大きな故障となる前に対応をとることが可能になります。

中でも温度は極低温機器の運用に重要な因子で、内部の温度分布を高頻度で測定・監視することは異常の兆候を捉える上で非常に重要です。

近年、光ファイバ温度センサが開発されており、実用化の事例も多く見られるようになってきていますが、光ファイバ温度センサは1本のセンサで多くの 点の測定が可能であるため、熱侵入やスペース、電気絶縁性などの面で有利で、超電導磁石をはじめとした極低温機器の測定には大きなメリットがあります。

この光ファイバのメリットを極低温機器にも活かし、極低温機器内部の温度を分布的に測定・監視可能となるよう、光ファイバ温度センサの開発を進めています。(図1)

2.測定方式

光ファイバ温度センサは、測定方式からFBG (Fiber Bragg Grating) 方式と散乱光方式に分けられます。

FBG方式は、光ファイバ内部に加工した干渉格子の間隔が熱収縮に伴い変化するのを反射波の波長変化から測定する方式です。短時間で高精度な測定ができるのが特長で、1本の 光ファイバで30点程度まで同時測定が可能です。

また分布型は、光ファイバ内に発生する散乱光の波長が温度変化によって変化するのを 測定する方式で、無加工の光ファイバを使用して分布的な測定が可能であることが特長です。

3.コーティングによる感度向上技術の開発

コスト、実用性からFBG方式を対象にセンサの開発を行ってきました。光ファイバ素線の熱伸縮が極低温で鈍化することへの対策として、FBG部に線膨張率の大きい金属をコーティングし、温度分解能が向上するかどうかについて確認しました。

その結果、銅、亜鉛とも低温での感度が向上して、コーティングなしに比べて、銅で約1.86倍、亜鉛で約3倍の感度向上が得られました。(図2)

今後、超電導磁石を模擬した冷却クライオに光ファイバ温度センサを設置した確認試験を実施し、極低温機器の温度測定システムの構築を目指していきます。

本研究は国土交通省の補助金を受けて実施しました。

図1 ファイバと従来センサによる内部温度測定・監視
図2 コーティングしたFBG方式センサの測定結果

参考文献

  1. "Measurement and Improvement of Characteristics using Optical Fiber Temperature Sensors at Cryogenic Temperatures", Physica C:Superconductivity, Vol.471, Issues 21-22, pp.1570-1575 (2011)
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