システムとしての鉄道

 システムとは何でしょうか。広辞苑によれば「複数の要素が有機的に関係しあい、全体としてまとまった機能を発揮している要素の集合体」です。

 鉄道は多くの要素から構成されるシステムです。トンネルや橋梁、高架橋などの構造物、その上に敷かれた軌道、軌道の上を走行して人間や貨物を運ぶ車両、列車を安全に運行するための信号通信設備、列車にエネルギーを供給する電力設備、自動改札やエレベータなどの駅設備、軌道や車両を保守するための機械設備といった「ハードウェア」。列車ダイヤや乗務員、車両運用などの「ソフトウェア」。そしてお客様、駅員、乗務員、社員などの「人間」。

 これらの要素が集まっただけでは鉄道は成り立ちません。まさに有機的に関係しあうことが必要であり、その関係は自律分散型であると言えます。つまり、通常はシステムを構成するそれぞれの要素が独立して機能していれば全体が機能します。軌道は軌道、車両は車両というように、それぞれの専門家がそれぞれ定められた基準ややり方に従って仕事をしていれば、ことさら周りのことを考えなくても全体として列車は正常に運行されます。

 しかし、新しい技術開発に挑むときや、事故や災害などの異常時には、それぞれの要素が自律して動いたのではうまくいきません。例えば列車の速度を上げる場合や事故に対処する場合には軌道、車両、信号など多くの要素が協力し協調しないとうまくいきません。鉄道は自律分散のみではなく、自律分散協調システムでなければなりません。

 自律分散している要素が協調するための鍵は人間にあります。このような面からも人間科学研究の進展が望まれます。

(鉄道総合技術研究所 企画室長 手塚 和彦)

ヒューマンファクタ分析の教育効果と課題(1)

はじめに

 的確な安全マネジメントを実行するには、事故やトラブルに対する気付きや改善意見を収集・活用し、改善のためのPDCAサイクルを確立することが重要です。ただし、適切な分析ができなければ、有効な気づきや改善意見を得ることはできません。

 そこで、我々はヒューマンエラーに起因する事故の分析手法の開発と、普及活動として、分析方法や関連知識をまとめたハンドブックの販売や各社の要望に対応した研修指導等を行なっています。

指導後には受講者の理解確認が重要

 研修指導は、鉄道事業者の依頼により、若手リーダー、事故担当者、指導者、職場管理者など様々な担当や階層レベルに対応して行なっています。研修は、主に講義と演習を合わせて行なうことを基本としています。また、研修の後には、受講者がどの程度理解したかを簡単なアンケート調査などで確認するようお勧めしています。ここでは、その一例1)を紹介します。

 図1は、ヒューマンエラーとその防止対策や背景要因の例、分析手法の必要性とその手続きの概要(内容と手順)について、講義形式での研修をした後に受講者に対して実施したアンケート調査の結果です。このうち、分析手続きについて内容の理解度を問うと、受講者の半数以上が「だいたい理解できた」と回答し、「なんとなく分かった」を含めると9割を超えます。一方、手順については、「だいたい理解できた」と「なんとなく分かった」を合わせても回答は6割程度です。頭では分かったつもりになれても、体得までには至っていないという状態は、講義を1回受けただけでは当然の結果でしょう。

 次に、職種系統を運転取扱い作業の系統(運転、車掌、駅信号)とメンテナンス作業の系統(車両、電気、信通、施設等)に分け、各職種系統に代表的なエラー事例を元にした分析手続きの演習指導(課題自習→グループ討議→発表→解説)を行いました。その後、受講者に理解の程度を聞いた結果を図2に示します。どちらの系統も分析手順について「だいたい理解できた」との回答が増加し、実用的な理解 が深まっていることが分かります。

図1 講義形式の研修後の受講者の理解度 及び 図2 演習指導後の受講者の分析手順についての理解度

指導方法の課題が分かる

 演習指導後の理解の程度は、職種系統により違いが見られました。

 メンテナンス作業の系統では、普段からチームで共同作業をすることが多く、グループ演習がやり易かったのかもしれません。また、用いた事例の背景要因を普段の作業の品質管理に照らし合わせて、共感できる部分が大きかったのかもしれません。

 一方、運転取扱い作業の系統では、普段一人で作業することが多いため、演習の場に慣れるまで時間がかかり、「この事例は自分には当てはまらない」と思う人が多いようです。研修時間がもっと必要であるのと同時に、如何に受講者に関心を持たせる事例を選ぶかが課題です。

研修目的(何を理解させるか)も検討課題

 こうした研修指導は、分析手法の技術の取得だけではなく、組織や作業システムの改善の必要性やリスクへの感受性といった意識・価値観を醸成することも目的の一つです。これについては、次の機会に、調査結果を紹介します。

文献

1) 宮地:鉄道総研式ヒューマンファクタ事故分析手法とその教育課題、産業・組織心理学会第22回大会、2006

(安全性解析 宮地 由芽子)

質問で記憶が歪む?

 最近、「ヒューマンエラーは原因ではなく結果である」という言葉が一般的になってきました。そのためか、事故が起きた原因がヒューマンエラーであると判明してもそれで満足せずに、その背後にある要因にまで目を向けて検討する職場が増えてきたのではないでしょうか。さて、ヒューマンエラーの背景要因を明らかにするためには実際に当事者の話を聴く必要がありますが、そのなかで本人が真実を話そうとしているにもかかわらず、事実とは異なる回答をしてしまう場合があります。しかも、その原因が聴き手である質問者にあることが多いのです。そこで今回は、聴き手の質問の仕方によって回答が歪められてしまう事例をご報告したいと思います。

①言葉の印象

 ロフタスとパーマーという心理学者が以下のような実験を行ないました。

 実験に参加する人は全員、ある事故の記録(スライド)を見せられます。そのスライドには事故にまつわる様々な情報が記録してあります。すべての事故記録を見た後、参加者は事故に関する質問をされるのですが、ひとつのグループは「激突(Smashed)したときの速度は?」と聴かれ、別のグループは「接触(Contacted)したときの速度は?」と聴かれます。その結果、同じ事故の記録を見たのにもかかわらず、「激突~」と聴かれたグループは平均で時速65kmと回答し、「接触~」と聴かれたグループは平均で時速51kmと回答したのです。この違いは、質問された言葉の印象が過去の記憶に影響して、記憶を歪めてしまったために起きた現象です。もし、正確な状況を知りたいのであれば、強い言葉を使って質問することは控えたほうがいいかもしれません。

②選択肢での制限

 実は、このような質問者からの影響で記憶が変わることはよく発生しています。例えば、「○○なの?それとも××?」という聴き方をすると、本当はどちらでもない「△△」だったのにもかかわらず、○○か××かの二者択一で思い出そうとして、誤った記憶を自ら作ることがあります。

③繰り返し効果

 このような質問者の言葉や表現も問題ですが、もうひとつ大きな影響を与えるのが、回数です。人間は、自分が持っている記憶はいつ変更されたか、古い記憶と比べてどこが変更されたのか、といった記憶に関する記憶(メタ記憶と言います)はあまり得意ではありません。前半に述べたとおり、わずかな質問の表現で記憶は歪むのですが、わずかな記憶の歪みのため、その変化そのものに気がつくことが出来ず、歪んだ記憶をオリジナルの記憶だと思い込んでしまいます。一度の質問で生じる歪みは小さなものでも、それが何度も繰り返されれば、当然その影響は大きくなります。ですから、繰り返しの事情聴取は、本来の目的とは逆に、記憶の歪みを大きくし、間違った回答を生み出す可能性が高くなるのです。

 これらのことを考慮すると、当事者に話を聴くときには、①聴き手は事故に対して自分が感じた印象などを強い言葉で相手に話さず、②喋り手に選択肢を選ばせるような質問ではなく、自分の言葉で話させる質問を中心にし、③下調べを十分にして同じ事を繰り返して質問しない、といったことに注意する必要があります。

 記憶を歪める可能性がある3つの質問の仕方をご紹介しましたが、これは、現在の状況が過去の記憶に影響を与えることが原因です。喧嘩をしたときに、「あなた、~の時にこんな事を言ったでしょ!」「お前は昔から~だよな!」などと過去のことを思い出して余計に怒りを感じたり、逆に自分ではもう解決したと思っていた問題を蒸し返されてイライラしてしまった事はありませんか?これは、現在が不幸なために起きる現象です。逆に現在の状況が幸せですと、「すごく貧乏だったけど、幸せだったよね」「苦労はしたけど、いい経験だったよ」などと、辛い記憶も楽しい記憶のように変化することもあります。

 事故の発生に危機感を抱き、真剣になる。それ自体は大変素晴らしいことですが、その真剣な気持ちのために、質問をする時についつい詰問調になることがあります。あるいは、調査にも関わらず、お説教をしてしまう方もいらっしゃいます。まずは一呼吸入れて、冷静になる事を心がけてみて下さい。落ち着いた気持ちで質問すれば、正しい回答が得られる可能性がきっと高くなるはずです。

(安全心理 北村 康宏)

お客様の満足度と期待値の関係

はじめに

 お客様の満足度の向上は、鉄道分野においても、重要な目標であると考えられます。お客様の満足度を知る方法の1つに、アンケート調査があります。アンケート調査により、「20%の方は不満を感じている」等の現状を知ることができます。

 今回は、更に一歩進んで、「ではなぜ20%の方は不満を感じているのか」を考える際のヒントになるかもしれない「期待不一致モデル」について、ご紹介したいと思います。

期待不一致モデルとは

 期待不一致モデルとは、満足度は期待値(期待レベル)と実際の差により決定される、という考え方です(図3)。元々は製品の購入場面が対象であり、「この製品はこうであろう」もしくは「この製品はこうであって欲しい」という購入前の期待値が、購入後にどの程度満たされるかで満足度が決まることが、多くの研究で示されてきました。

図3 期待不一致モデル
図3 期待不一致モデル

 期待不一致モデルについて、鉄道分野では、まだ十分な研究は行われていないのが現状ですが、このモデルのように、期待値が満たされるかどうかで満足度が決まると考えると、説明のつく場合があります。以下では、その例を挙げてみます。

例①:ダイヤの正確さに対する満足度

 鉄道では、列車の遅れはお客様の大きな不満につながります。一方で、飛行機の場合はどうでしょうか。到着予定時刻から数分遅れた場合のお客様の不満度は、おそらく鉄道の方が大きいでしょう。これは、鉄道と飛行機では、ダイヤの正確さに対するお客様の期待値が異なっているためと考えられます。鉄道では期待値が高いため、遅れた場合の期待値と実際の差が大きく、その結果、不満度が大きくなってしまうのです。もちろん、だからと言って、期待値が低い方が良い訳ではなく、ダイヤの正確さに対して高い期待値を持って頂いていることは、鉄道の強みであることは言うまでもありません。

例②:新しいサービスに対する満足度

 例えば今までICカードが利用できなかった路線で、ICカードが利用可能になったとします。利用開始直後は、多くのお客様が、その便利さに満足して下さるでしょう。しかし、時間の経過とともにICカードは当たり前のものになり、また、一部の方からは、「こういう機能もつけて欲しい」などの新たなニーズも生まれるかもしれません。このようにして期待値が上がると、満足度は利用開始直後の高さほどではなくなると考えられます。

 以上のように、新しいサービスに対する期待値は、時間の経過とともに上がる場合が多く、それにともなって満足度も変化する場合があると考えられます。

例③:吊り手の清潔さに対する満足度

 例えば、清潔感を特に重視する方は、そうでない方と比較すると、車内の吊り手の清潔さに対する期待値が高いでしょう。結果として、同じ吊り手を見たとしても、その清潔さに対する満足度は低くなると考えられます。

 このように、期待値は、お客様の属性(年齢、性別、鉄道利用頻度や利用目的など)や価値観などによって異なり、その結果、お客様により満足度が異なる場合があると考えられます。

おわりに

 今回は、お客様の満足度は期待値が満たされるかどうかで決まるという「期待不一致モデル」をご紹介しました。このモデルのように、期待値との関係を考慮に入れると、「なぜ満足して頂けていないのか」を考える際のヒントが得られるかもしれません。今後は、アンケート調査により期待値を知る方法について、検討を進めて行きたいと考えています。

(人間工学 村越 暁子)

覚醒と疲労のメカニズム

はじめに

 これまで、疲労や覚醒レベルに着目した様々な研究が行われてきました。しかし、その生理的なメカニズムは必ずしも明らかではなく、現在でも研究が進展中です。本稿では、これらのメカニズムに関する最近の知見について紹介したいと思います。

覚醒調節のメカニズム

 脳の構造をみると(図4)、背骨の中を通る脊髄が頭部に入ったところに延髄があり、さらに橋、中脳、間脳(視床や視床下部など)と続きます。ここまでを脳幹といい、その先に大脳皮質があります。

 マグーンは、動物の中脳の中央部を壊すと昏睡状態に陥り、また、中脳網様体という部位を電気刺激すると動物が覚醒することなどから「上行性網様体賦活系」という概念を提唱しました。中脳網様体の活動が大脳の活動レベルを高めるというものです。この説はその後、約30 年以上も信じられていました。

図4 上行性網様体賦活系(マグーン、1952)
図4 上行性網様体賦活系(マグーン、1952)

①覚醒に関わる調節機構その1

 マグーンは、中脳の中央部を機械的に壊したのですが、その後、このような神経細胞の破壊実験には、細胞体だけを正確に壊せる薬品が用いられるようになりました。1980年代に入り、これを用いて中脳網様体の破壊実験を行ったところ、昏睡は生じませんでした。現在では、中脳と橋の境界にある神経細胞の集団が視床を介して、睡眠-覚醒の調節を行っているものと考えられています。

②覚醒に関わる調節機構その2

 中脳から橋にかけて、前述の神経細胞の集団とは別の神経細胞の塊があります。この部位は、睡眠中には多少活動するのみで、覚醒により活動が高まります。また、注意や興味、不安など、意識的な活動や精神的な緊張のレベルが高まるとさらに活動が増大します。従って、この神経細胞は、大脳皮質における覚醒レベルを規定しているものと考えられています1)。この他にも、いくつかの覚醒に関する調節機構が明らかになっています。

疲労のメカニズム

 疲れを感じて集中力が低下したり、作業でミスを犯すことは、脳の働きやその変化に他なりません。脳の中のどこかに疲労を感じる部位や神経回路が存在し、集中力の維持や作業の遂行に関わる部位の機能が変化(低下) しているはずです。1999年から文部科学省・科学技術振興調整費による疲労研究班のチームがこの研究に取り組み、現在のところ、次のような知見2)を得ています。疲労を感じる時は、大脳皮質を52 の領域に分けたブロードマン(BA)の脳地図上で、ブロードマン11野、10野という領域の一部が活動を高めます。また、意欲やコミュニケーションにおいて重要なブロードマン9/46d 野や、集中力や注意を担っていて自律神経系の調節にも深く関わっている24野の活動低下が、疲労時における脳機能低下に関する中心的な現象であることなどが明らかになりつつあります。
 不明な点が多かった疲労や覚醒調節の全容が明らかになる日が来るのもそう遠くないかもしれません。

文献

1)山本健一: 意識と脳、サイエンス社、2000
2)渡辺恭良: 脳機能イメージングによる疲労および疲労感の解析、別冊 医学のあゆみ、2005

(人間工学 水上 直樹)

お父さんのストレス講座 -良い生活習慣を作る-

成人病から生活習慣病へ

 生活習慣は、心身の健康に影響を及ぼす要因の中でも、自分の努力によって変えることのできる重要な要因のひとつです。「生活習慣病」とは、1996年に厚生労働省が導入した疾病の概念ですが、それ以前は「成人病」と呼ばれることが一般的でした。「成人病」というと、「歳をとれば誰でもかかる病気」というイメージが先行しがちですが、その後の研究などから、成人病の発症には若い頃からの生活習慣が深く関連していることが明らかになってきました。そのため、「一定の年齢になった段階で病気の早期発見・早期治療を行う」ことに重点を置くという認識から、「生涯にわたって生活習慣に留意する」ということに重点が移行し、名称も併せて「生活習慣病」と変更されたのです。

生活習慣が心身の健康に与える影響

 現在、実に日本人の3分の2近くが、生活習慣病を原因とした病気で亡くなっていると言われています。生活習慣病とは、「食習慣、運動習慣、休養、喫煙、飲酒等の生活習慣が、その発症・進行に関与する疾患群」のことを指し、その代表的な疾患としては、がん・心疾患・脳血管疾患などが挙げられます。森本 1)は、表1に示すような生活習慣を守ることが疾患予防に効果的であることを示しています。

表1 身体的健康度と関連する生活習慣
[表1 身体的健康度と関連する生活習慣] 8つの健康習慣:1)喫煙をしない.2)過度の飲酒をしない.3)毎日朝食を食べる.4)毎日平均7~8時間眠る.5)毎日平均9時間以下の労働にとどめる.6)身体運動スポーツを定期的に行う.7)栄養バランスを考えて食事する.8)自覚的ストレス量が多くない::8つの健康習慣のうち,いくつ守っているかによるライフスタイルの良否:守っている生活習慣数ライフスタイル:0~4 不良.5~6 中庸.7~8 良好

 このように、生活習慣と身体的健康の関連性については数多くの研究が支持しているところですが、生活習慣と精神的健康の関連性についての研究結果もいくつか示されています。たとえば、森本の研究によれば、①日常生活が規則的に行われていること、②趣味を持つこと、③身体的な運動を定期的に行うこと、④適正な睡眠時間(7~8時間)をとること、⑤栄養バランスに留意すること、⑥朝食を毎日とるような余裕を持った生活をすること、という項目が、精神的に良い健康状態と関連性があることがわかっています。

運動のブーム

 生活習慣とは、前述のように、「食習慣、運動習慣、休養、喫煙、飲酒等」のことを指しています。そのうち喫煙については、平成15年の健康増進法の制定などにより分煙化が進むなど、これまでにも盛んに具体的な取り組みが行われてきましたが、最近、特に注目され始めているのは、食習慣と運動習慣のようです。近年、メタボリックシンドロームという言葉が、マスコミなどで盛んに取り上げられるようになりました。厚生労働省では、平成20年度から、定期健康診断の際に、40歳以上を対象として、腹囲を測定項目として追加することを定めています。

 このような流れを受けて、運動のための器具が大ヒットするなど、運動をすることが私達の間で今ブームとなっています。

軽い運動でOK、でも「習慣」に

 日常生活の中に、習慣として運動を取り入れてみることが、心身の健康を保つ鍵になることは間違いありません。ただし、某市職員がメタボリックシンドローム解消作戦の運動中、急死するという痛ましい事件は記憶に新しいところですが、普段運動習慣のない人が、急激に過度の運動を始めることには大変な危険が伴います。アメリカの医学誌では、毎日、1日30分早足で歩く中強度の運動だけで、メタボリックシンドロームの解消に十分であることが示されたという報告もあり、軽い運動を習慣的に行うだけで、かなりの効果が期待できそうです。重要なことは、それを「習慣化」できることです。習慣が病気の原因になるのなら、健康を増進させる原因もやはり習慣であることは言うまでもありません。

文献

1) 森本兼曩:ストレス危機の予防医学-ライフスタイルの視点から、日本放送出版協会、1997

(人間工学 鈴木 綾子)