囲碁に学ぶ

 長年、囲碁を趣味としてきた。囲碁は白石と黒石を交互に置いていき、自分の石で囲んだ領域の広さを競う単純なルールのボードゲームであるが、将棋やチェスに比べて着手の選択肢が圧倒的に多く、また、これらが相手を倒す(玉やキングを動けなくする)だけのゲームであるのに対して、囲碁は、囲った地を領土、石を兵力に例えて、相手兵を倒さなくても全体として領土を多く取れば勝てるし、局地戦で相手兵を叩き潰せば勝利を得ることもできる。即ち囲碁は戦いのシミュレーション、彼我の戦略のぶつけ合いの側面を持つ。

 一方では囲碁は手談とも言われ、妙手が繰り出された棋譜は二人で作り上げる美しい作品にもなる。しかし、一旦勝負が始まれば勝つ気満々で臨むのが人の常、人間性剥き出しの争いと相成る。とりわけ、持ち時間制の中で秒読みの切迫した状況に置かれた時の緊張感、人間の判断力の発揮の難しさを堪能できる。ポカを打たないように、如何にして勝ちを得るか、囲碁という勝負の醍醐味である。

 古くから囲碁には勝負にまつわる多くの格言が生み出され、日本語の慣用句として定着しているものも多い。例えば専門語の入らないものでも、「定石を覚えて二目弱くなり」「名人に定石なし」「取ろう取ろうは取られのもと」「敵の急所は我が急所」「手拍子で打つことなかれ」「勝ち碁を勝ちきる難しさ」などは、驕り、侮り、あせり、うっかりミスなどを防ぎ戒めるための訓戒である。日常生活や仕事上におけるエラー防止にも役立つ名言が多い。

 先人は囲碁から多くのことを学んできた。囲碁に勝つための格言は、単に戦略・戦術に関する定法を説くだけでなく、人間性の本質を突きながら、人生あるいは仕事に勝つための道標を示したものも多い。「ヒカルの碁」に触発された若者も増加しつつある昨今、囲碁というゲームを通じて人生を学んでみては如何?

(鉄道総合技術研究所 専務理事 内田 雅夫)

泣くから悲しい?ドキドキするから焦る?

「泣くから悲しい」

 このタイトルや見出しをご覧になって、奇異に思われた方もいらっしゃると思います。悲しいと思ったり感じたりするから泣くという「悲しい→泣く」という関係が、ごく普通の感覚だと思います。つまり、

  • ① 外部からの刺激
  • ② 感情や情動の体験
  • ③ 生理学的な変化(泣く、血圧が上がる、呼吸数が増加する、筋肉が緊張する、表情が変わる)

と、①、②、③と順をおっていくということです。
 しかし、タイトルに掲げた「泣くから悲しい」や「ドキドキするから焦る」というのは、②と③の順番が入れ替わっています。スタートは同じ①の外部からの刺激でも、

  • ② 生理学的な変化
  • ③ 感情や情動の体験

があるという考え方です。
 これは、アメリカの心理学者ジェームズと、オランダの心理学者ランゲが提唱した理論で、「ジェームズ=ランゲ説」と呼ばれているものです。
 彼らは、ある刺激に対して、まず内臓活動や血管活動があって、それへの反応として感情や情動が起きると考えたのです。種々の感情や情動は、「泣くから悲しい」、「殴るから腹が立つ」、「震えるから恐ろしい」という解釈になります。
 例えば、ある怖い思いをしたとき、心理的な興奮がおさまったとしても、まだ引き続いている生理的な興奮(例えばドキドキする、冷や汗をかいている)に気がつくと、改めて、興奮したり恐怖を感じたりします。この例は、生理学的な変化から感情や情動を体験することがありうることを示しており、「ジェームズ=ランゲ説」がそれなりに実際の情動の変化と合致していることが分かります。
 しかし、「ジェームズ=ランゲ説」だけでは、情動の変化を説明しきれない部分があります。やはり、感情や情動の変化が生理学的な変化を起こすという方向も否定はできません。外部の情報が脳に取り入れられ、「感情や情動の体験→生理学的な変化」という方向の主張として「キャノン=バード説」があります。この説も古典的な情動に関する理論として有名な理論です。

ドキドキするから焦る

 異常時は、ドキドキするという生理学的な変化が生じることが多く、焦ったり慌てたりすることが多いものです。焦ったり慌てたりすれば、慣れていることでも、作業や行動のステップを飛ばしがちです。一つ一つの作業や行動のステップが、平常時以上に重要となりうる異常時で、焦りや慌ては、適切な対処を阻害する大きな要因となるでしょう。
 これを、「ジェームズ=ランゲ説」から見れば、ドキドキという身体的な変化が、焦りを生じさせると考えられます。「対症療法」として、呼吸を整えたり、洗顔をしたりするなど心拍を低減させるアクションをとることで、ドキドキを低減させ、焦りを鎮めることができます。
 一方、「キャノン=バード説」から見ると、そのような対策にはあまり効果はなく、焦ったり慌てたりしにくいようにすることが必要になります。そのためには異常時に備えた訓練を積むことが重要になってきます。異常時の慌てや焦りは、対処すべきことがあるのに、自分にはうまくできないかも知れないという低い自己評価から生まれると考えられます。いつでもうまくできるという自己評価があれば慌てや焦りは生じません。異常時は、不慣れで、うまくできたという経験もないことが多いため、慌てや焦りが生じやすいのです。異常時に備えた訓練を積むことで、自分にもうまくできるはずだという自己評価をもてるレベルにしておくことが、重要だと言えるでしょう。

(安全心理 赤塚 肇)

運転士のエラー予兆を検知する

エラー予兆検知技術の開発動向

(1) 自動車分野
 近年、自動車分野では、ドライバのエラー原因となる疲労や居眠りなどの心身機能低下の予兆を検知して、警報を出す装置の開発が進められています。
 心身機能低下の推定には、生体情報を活用する方法と車両情報を活用する方法の2種類があります。前者ですと、従来、生体情報を取り出すために、専門家が必要で、ドライバの身体にセンサを取り付けたりしなければなりませんでした。最近では、ドライバの挙動や目の動きなどをカメラ撮影や運転シートに装着したセンサなどからドライバへの負担が少なく計測できるようになりました。車両情報を活用する場合は、蛇行量、車速や車間距離の乱れなどから間接的に推定する方法が提案されています。
(2) 鉄道分野
 鉄道では、運転士の失神や居眠りなどの異常を検知したとき、列車をとめるデッドマン装置とEB装置があります。
 デッドマン装置は、運転士にハンドルを押したり、ペダルを踏んだりすることを常に要求して、それらを離してしまうと自動的に非常ブレーキがかかります。EB装置では、運転士がハンドル、笛弁などの運転機器を一定時間操作しなければ警報が出て、さらに一定時間の間に警報解除操作をしなければ自動的に非常ブレーキがかかります。国鉄では、1969年のEL・DLの1人乗務化に合わせて、新造された機関車にEB装置が取り付けられるようになりました。
 これらの技術開発は、少なくとも40年あまり変化がありません。しかし、2006年に全ての車両に「運転状況記録装置」の搭載が義務付けられたのを受けて、本装置から得られるデータを運転士のヒューマンエラー防止や運転操縦技術の向上などに役立てられるかどうか、その活用性の検討が一部の事業者で行われるようになりました。

運転状況記録からのエラーの予兆検知の可能性

 列車運転シミュレータを使った実験から得られたオーバーラン(過走)に関するエラー事例をもとに、運転状況記録装置のように連続的に取り込める運転速度、力行・ブレーキノッチ位置などのパラメータから、エラーに先立つ予兆現象が見出せるかどうかについて調べてみました。
 図1は、ある駅間の運転士10名の正常な運転曲線(平均値±2σ;観測値の95%領域)と2つの過走事例の運転曲線を示しています。過走43mの事例を見ると、駅を出発して約600mの地点から平均値±2σを逸脱していていることが読み取れます。これは、過走エラーの発生前にその予兆が既に現われていることを予想させるものであります。つまり、実際の運転曲線が平均値±2σから逸脱しているかどうかを検知することができれば、過走などのエラーを防ぐことができると考えられます。一方、過走29mの事例のように、停止に向けた減速区間に入ってからエラーの予兆現象が検出され、それに対応するための時間的な余裕が少ないケースも見られました。実用化の観点では、運転士への事前警告などで対応できる早い段階で、エラーの予兆現象を検知できるようにすることが理想です。
 今後もシミュレータを活用した実験を通じて、エラーの予兆現象を検知する技術の確立を目指します。今回はエラー発生時の駅間に注目しましたが、今後は前の駅間ではどうか、さらにもっと前はどうかと振り返って見ていきます。また、運転曲線のほか、力行・ブレーキノッチの扱い数、加速・減速度の変化などのパラメータの検討とともに、自動車分野の技術の適用可能性も含めて検討していく予定です。

図1:シミュレータ実験で得られた予兆の例
図1 シミュレータ実験で得られた予兆の例

(人間工学 澤 貢)

調査に必要な人数は?-2つの平均値を比べる-

はじめに

 「お客さまのニーズを把握するためにアンケート調査をしたいのですが、何人以上データをとれば良いのでしょうか?」など、「データ数」に関する相談を受けることがよくあります。このような質問の背後には、データ数があまり少ないと、結果の信頼性が確保できないのではないかという懸念があります。今回は、どのような場合に「データ数」を気にしなければならないかということと、気にする必要がある場合に、必要数をどのように決めるのかということについて、一つの目安を解説します。

平均値の解釈

 例えば、新宿駅を利用する100名に、列車ダイヤに対する満足度を「非常に満足」から「非常に不満足」まで7段階で評定してもらい、100名の平均値を求めたとします。求めた平均値を解釈する際、実際に回答してくれた利用者100名に限定して、“(今回調査した)100名の実態”として解釈する場合であれば100名が多いとか少ないとかを気にする必要はありません。データ数が問題になるのは、平均値を検討する際に、実際にはデータを全て取れていない利用者全体にまで広げて結果を解釈したい場合です。この例では、首都圏の利用者全体にまで広げる場合などが該当します。

部分から全体を知りたい

 これは、テレビの視聴率調査や工場での不良品調査のように、全数を調べられないときに、その中の一部を調べて、全体の傾向を推測する場合と同じです。このようなタイプの調査は「標本調査」と呼ばれ、50名よりも100名、100名よりも200名から求めた平均値の方が信頼性は高くなります。そのため、できるだけ多くのデータをとった方がよいことになります。これは見方を変えると、実際にとった100名のデータから首都圏の利用者全体における平均値を○~○位といった「幅」をもって推測する場合、幅の大きさを決めれば、その幅に入るようにするために必要なデータ数が逆算できるということです。このとき、この幅が狭ければ狭いほど、推測の精度が高いことを表します。

2つの平均値を比べたい

 2つの平均値を比べたい場合について考えてみます。例えば、ダイヤ改正によって、お客さまのダイヤに関する満足度が上昇するかどうかをアンケートで尋ね、満足度を7段階で評定してもらったとします。改正前と改正後にそれぞれ同じお客さまに回答してもらう場合と、それぞれ違うお客さまに回答してもらう場合が考えられます。これらの場合に、どの位のデータ数から求めた平均値の差であれば、信頼性が高いといえるのでしょうか。表1に、2つの平均値の差を比較する場合に必要なデータ数の目安を示しました。表の中で、平均値の差の推測の幅が「小さい場合」と「大きい場合」というのがあります。これは、差の散らばりの程度を表す“標準偏差”の0.2倍と0.5倍にそれぞれ相当します。この場合、「小さい場合」のほうが精度がよいことになります。平均値の差に対して前後にこれらの大きさをとった幅が、平均値の差の推測幅の大きさになります。もし、調査の計画段階で「差の得点の標準偏差」の値がわからない場合は、予備調査を行ったり、類似の調査結果を参考にしたりして、値を決めるとよいでしょう。また、データの取り方にも注意が必要です。2つの調査とも同じ人に答えてもらったデータか、それぞれの調査で違う人に答えてもらったデータかで、必要なデータ数が違ってくるからです。

おわりに

 以上は、差をどの程度の幅をもって推測するかという観点から、必要なデータ数の目安を示しました。かなり大雑把な目安ですが、標本調査をする際のデータ数を決める参考になるのではないでしょうか。

表1 2つの平均値を比較する場合の必要データ数の目安
表1:2つの平均値を比較する場合の必要データ数の目安

(人間工学 山内 香奈)

地震災害に対するリスクマネジメント-事業継続計画-

リスクマネジメントの分野で、事業継続計画(BCP)の概念が注目されるようになっています。 地震に対する事業継続計画がどのようなものかについて簡単に紹介させていただきます。

事業継続計画とは

 近年、BCP(Business Continuity Plan:事業継続計画)の話題をいろいろな場所で聞くようになってきました。BCPを簡単に説明すると、『災害などで大きなダメージを被った時に、企業がどのように事業を継続し、早期復旧を可能とするかを、予め取り決めておきましょう』というものです。
 BCPを策定する目的としては、事業中断による損失を最小限に抑えることや従業員・利害関係者の損失を防ぐことなどがあります。また、企業としての社会的責任を果たすことや企業イメージを維持することなども含まれています。
 BCPの策定手順は大きく3段階に分けられます。

  • 1) 対象とする事象を決定する
  • 2) 対象事象のビジネスに対する影響を分析する
  • 3) 手順を決めて文書化する

 さらに、対策の導入や訓練などを通じて、継続的な改善を行っていかなければなりません。このようなサイクル全体はBCM(Business Continuity Management)と呼ばれています(図1)。

図1 Business Continuity Management
図1 Business Continuity Management

地震災害を対象としたBCP策定

 日本は地震や台風などの自然災害の多い国です。内閣府が作成した事業継続ガイドライン*1では、はじめて想定する災害として震度6強の地震が推奨されています。この理由として、日本において地震が事業継続における最大の脅威であることや自力で対応できる事業継続方法を検討する余地が大きいことなどが挙げられています。
 対象とする事象を決定しましたら、次にビジネスに対する影響を分析していきます。以下のような項目を検討していきます。

  • ① どの構造物がどの程度損壊するか
  • ② どの設備・什器備品がどの程度損壊するか
  • ③ 機器類の修復・調整にどれくらいかかるか
  • ④ 従業員はどの程度出勤できるか
  • ⑤ 在庫はどの程度無事か
  • ⑥ ライフラインの停止期間はいつまでか

 ここで重要なポイントが2つあります。一つは、重要業務の目標復旧時間を設定することです。目標復旧時間は、社会的使命の観点と現実可能性の観点双方から考えていかなければなりません。二つ目は、目標時間内に復旧するために障害となる要因(ボトルネック)を抽出することです。このとき、自社だけでなく、商品やサービスを提供に至るまでの全過程を通じて要因を抽出してゆく必要があります。このような影響分析を行うにあたっては、様々なリスクアセスメント手法が使われており、大規模なシミュレーションを行っている場合もあります。
 最後に、ビジネス影響分析の結果に基づいて、自社の対策をまとめます。以下のような項目を考慮してまとめていきます。

  • ① 指揮命令系統の明確化
  • ② 本社等重要拠点の機能の確保
  • ③ 対外的な情報発信および情報共有
  • ④ 情報システムのバックアップ
  • ⑤ 製品・サービスの供給関係

 現在、各省庁からBCPに関するガイドラインが出ています。今後は、BCPを策定する企業が増えていくのではないかと考えています。

参考文献

 ・内閣府 中央防災会議 『事業継続ガイドライン第一版』*1
 ・経済産業省 『事業継続計画策定ガイドライン』
 ・中小企業庁 『中小企業BCP策定運用指針』

(安全性解析 畠山 直)

お父さんのストレス講座-上司からのコミュニケーション-

上司からのコミュニケーションは難しい?

 職場のコミュニケーションに関するマナー教室の講師を務めている方に、「職場の上司というものは、実際には部下のことを考えているのに、我々の眼からすれば、それをうまく伝えられていない人がとても多いのです」という話を聞いたことがあります。仕事上のコミュニケーションに関する啓発本などを目にすることも多くなった今日、これを聞いた時は少し意外な気もしましたが、コミュニケーションの重要性についての認識は浸透しつつもその具体的な実践方法は周知されにくいという事実を、このエピソードは物語っているのかもしれません。

積極的傾聴法とは

 円滑なコミュニケーションのための最も効果的な方法は、相手の話を聴くことであると言われています。話の聴き方として良く知られた技法に、積極的傾聴法があります。この技法は文字どおり、積極的に相手の話を傾聴することを指します。以下に、積極的傾聴法のポイントをいくつか紹介します。

表 積極的傾聴法の技法の例
表 積極的傾聴法の技法の例

 聴き役に回ることは受け身になることと誤解しやすいところですが、このようなポイントを見ると、相手の話に意識を集中して理解しようという積極的な態度で臨まなければ、積極的傾聴は的を外したものになってしまうことが分かります。

話を聴く姿勢

 積極的傾聴法では、話を聴く際の姿勢を重視します。一説によれば、言葉によって伝わるメッセージが35%であるのに対し、身振りや表情などの言葉以外の情報から伝わるメッセージは65%であるとも言われています。この研究が意味することは、話者が伝えたいと思っている内容が伝わらないだけでなく、思いもよらないメッセージを相手が受け取る可能性があるということです。しきりにペンを動かしながら話を聴く上司から、部下は「忙しいので早くこの場を切り上げたい」というメッセージを受け取るかもしれません。もしかしたら、話を集中して聞くときの癖であったとしても、伝わるメッセージはむしろ逆の効果しかもたらさないことになります。
 このように考えると、部下が「○○さんは忙しいですから」と控え目に物事を伝えるのは、普段のせわしない仕事ぶりを見て遠慮しているに過ぎないかもしれません。これを「自分の多忙な業務を理解し協力してくれている」と捉えた時、部下とは互いに理解し合える良好な関係を築いていると思うでしょうし、部下は上司と十分な連携が取れていないと感じることでしょう。冒頭の話は、上司から部下へのコミュニケーションがうまくいっていない現状を指したものですが、コミュニケーションの齟齬は、このような善意の思い込みによって生じているのかもしれません。

円滑なコミュニケ-ションのために

 円滑なコミュニケーションを目指して、積極的傾聴法を実践するには、部下から話を引き出すことが前提となりますが、そもそも話をしてこない部下であった場合、どうしたら良いでしょうか。
1.「部下が話をしてくるとしたら、それはどういう状況か」を想像する:「もし問題が解決するとしたら、それはどういう状況か」を問うことで、自分自身がどう行動すべきかというヒントが得られることがあります。普段話をしない部下が多少なりとも話をする状況を考えると、たとえば最初は閉ざされた質問をして、話しやすい環境下にするという働きかけをすることが思い当たります。
2.普段から肯定的なメッセージを伝える:注意や叱責は口頭でしっかり伝える上司も、意外なことに、部下に対する信頼や高評価は、言葉にしなくとも伝わっているものと信じている傾向にあります。注意がその場でなされるのと同様に、肯定的な評価もその場で言葉にして伝える必要があります。
 以上に示した2つの例は、部下の行動を変容させることを目的とした行動ですが、いずれも相手が変わることを期待するのではなく、自分自身がまず変わることが重要であることを示唆しています。

(人間工学 鈴木 綾子)