ラーメン高架橋片持ちスラブの補強工法の開発

1.はじめに

 近年,新幹線等においては,利便性の向上を目指し,速度向上に対する検討が行われています。これに伴って,鉄筋コンクリート(以下,RC)ラーメン高架橋等においては,列車の高速化による騒音対策として防音壁の嵩上げをする場合があります。嵩上げにより,図1に示すように,風荷重が防音壁に作用した際に,RC片持ちスラブ(以下,片持ちスラブ)への作用力が増加します。特に線路側から風荷重が作用した場合は,上側鉄筋の引張応力の増加に伴い,耐力不足となる事例が散見されます。これを解決するために,図2に示す,施工性を考慮しスラブ下面から柱接合部付近に離散的にRC小梁(以下,補強梁)を増設し,片持ちスラブの耐力向上を図る補強工法を考案しました。

  • 図1 嵩上げに伴う風荷重の増加
    図1 嵩上げに伴う風荷重の増加
  • 図2 開発した補強工法のイメージ
    図2 開発した補強工法のイメージ

2.既設片持ちスラブの現状

 片持ちスラブへの作用する曲げモーメントは,死荷重(片持ちスラブや防音壁等の自重)に起因するものと,活荷重(風荷重)に起因するものに分類されます。前者は,片持ちスラブ付根からの距離応じて作用しますが,後者は,付根から先端まで均一に作用する,等曲げモーメントとして,防音壁の高さの2乗で作用することとなります。そのため,防音壁の嵩上げに伴って,防音壁自体の死荷重の増加よりも,主として,活荷重である風荷重の増加が想定されます。

 図3に,風荷重が作用した場合の曲げモーメントと曲げ耐力の関係を示します。風荷重は鉄道構造物等設計標準(コンクリート構造物)(以下,RC標準)において設定されている風荷重の最大値3.0kN/m2(風速約50m/sec)としました。検討した構造物は,一般的な構造物とし,上側鉄筋の段落としを1箇所,防音壁をRC構造と想定しました。図4に既設片持ちスラブの防音壁の高さと照査値の関係を示します。防音壁高さ4.0m以上となると,段落とし部や先端の照査値が増加し補強が必要になることが分かります。

  • 図3 既設片持ちスラブに作用する曲げモーメント
    図3 既設片持ちスラブに作用する曲げモーメント
  • 図4 防音壁の高さと照査値の関係
    図4 防音壁の高さと照査値の関係

3.補強工法の考案に伴う検討事項

 開発した補強工法は補強梁の増設により,片持ちスラブを突縁としたT形梁とする工法です。そのため,単位幅あたりで検討するのではなく,補強梁の設置間隔で突縁を有するT形梁として検討する必要が生じます。以下では,実験と解析により補強梁設置による補強効果や補強工法の適用範囲を検討しました。

4.補強効果の検討

 図5に示す,実構造物の1/2サイズの試験体を用いた載荷実験により補強効果の検討を行いました。試験体は無補強のNo.1と補強試験体のNo.2で行いました。図6に先端部の曲げモーメント-水平変位関係を示します。横軸は試験体中央の水平変位としました。No.2はNo.1に対して初期剛性が高くなり,曲げモーメントの最大値は1.5倍程度増加し,補強梁設置に伴う補強効果を確認しました。この実験結果に対して,3次元FEM解析を実施しました。図6に解析結果を示します.実験値と解析値は概ね一致し,解析モデルの妥当性を確認しました。

  • 図5 試験体の全体図と載荷状況(単位mm)
    図5 試験体の全体図と載荷状況(単位mm)
  • 図6 先端部の曲げモーメント-水平変位
    図6 先端部の曲げモーメント-水平変位

5.補強工法の適用範囲の検討

 前章で妥当性を確認した解析モデルを用いて,実構造物サイズの3次元FEM解析を実施し,本工法の適用範囲について検討しました。実構造物サイズの解析は補強梁間の片持ちスラブも対象としました。図7に一般的な構造物を想定した解析モデルを示します。図8に先端部の曲げモーメント-水平変位関係の例を示します。横軸の水平変位は補強梁位置の変位です。図中の点線は防音壁高さ5.0mに風荷重3.0kN/m2が作用した際の曲げモーメントを示しており,それぞれ,曲げ耐力(図内γf=1.2),曲げ降伏耐力(図内γf=1.0)の照査に用いる応答値を上回ることを確認しました。図9に損傷箇所(最小主ひずみ分布)を示します。損傷箇所は先端部となり,補強梁の間にある既設スラブの損傷ではなく,他箇所よりも剛性が高い補強梁の設置箇所に卓越しました。このことから,補強梁を柱間隔で設置することで,4章と同様にT型梁を有する耐荷機構になることを確認しました。

 以上より,一般的なRCラーメン高架橋に対し,本工法は,新設高架橋で用いられる防音壁高さの最大程度,5m程度まで対応可能であることを確認しました。

  • 図7 実物大3次元FEMモデル
    図7 実物大3次元FEMモデル
  • 図8 解析結果の例(片持ち長2.8m)
    図8 解析結果の例(片持ち長2.8m)
  • 図9 損傷箇所(最小主ひずみ分布)
    図9 損傷箇所
    (最小主ひずみ分布)

6.おわりに

 柱接合部付近に離散的に補強梁を増設し,片持ちスラブの耐力向上を図る工法を開発しました。現在,本工法に関するマニュアル類を作成しています。

参考文献

1)鬼頭直希,仁平達也,岡本大,黒岩俊之:RC小梁の離散的な設置によるRC張出しスラブの補強工法の検討,コンクリート工学年次報告論文集,2015.7

(記事:コンクリート構造 仁平達也)

地震時座屈対策工の大型振動台試験

1.はじめに

 鉄道総研では,これまでにバラスト軌道の耐震性能を評価するため,実物大のバラスト軌道模型を用いた大型振動台試験を行ってきました.その結果,温度上昇によるレール軸力の増加により軌道を座屈させようとする横方向荷重をまくらぎに作用させて加振すると,加振中に道床横抵抗力が大きく低下することがわかっています1).本研究では,地震時における座屈対策工の道床横抵抗力を検討するため,実物大模型を用いた大型振動台試験を行いました.本試験においても,横方向荷重を作用させた条件で加振試験を行い,加振中における各種座屈対策工の対策効果を評価しました.

2.大型振動台試験の条件

2.1試験概要

 座屈対策工の地震中の道床横抵抗力を評価するため,実物大バラスト軌道模型を用いた大型振動台試験を行いました.試験の概要を図1に示します.鉄道総研の大型振動試験装置を用いて,まくらぎ長手方向に正弦波および地震波の加振を行いました.レールの温度上昇によるロングレールの座屈荷重を想定した横方向荷重4kN(温度上昇40℃程度)をまくらぎ1本に作用させるため,一定の張力を保持できるばねを用いて,外軌側のまくらぎ長手方向に作用させました.実物大模型は,高架橋上の新幹線バラスト軌道を想定し,セメントボードを振動台テーブル上に設置し,その上に各条件に対してまくらぎ1本ずつバラスト軌道を構築しました.バラスト道床は,カント200mm,道床厚200mm,道床肩幅500mm,密度1.6t/m3となるように振動バイブレーターを用いて新バラストを締め固めて作製し,まくらぎ1本あたりのレールの自重を考慮して,長さ581mmの60kgレールを取り付けました.

 試験ケースは,バラスト止め壁,座屈防止板およびプレストレスの3種類の座屈対策工と無対策の計4ケースです(図2).バラスト止め壁は,道床肩部の崩壊を抑制することを目的にまくらぎ端部から500mm離れた位置にボルトで振動台テーブルと剛結しました.座屈防止板は効果的な形状を小型模型試験で検討し,まくらぎ両端部に設置しました.プレストレスは,鉄道総研で新たに開発中のものであり,道床肩部に上下の拘束板でプレストレスを与えてバラストの剛性を増加させる工法です.大型振動台試験の状況を図3に示します.なお,本報告では,無対策,バラスト止め壁および座屈防止板の試験ケースについて紹介します.

  • 図1 大型振動台試験の概要
    図1 大型振動台試験の概要
    • 図2 各種座屈対策工の概要
      図2 各種座屈対策工の概要
    • 図3 大型振動台試験の試験状況
      図3 大型振動台試験の試験状況

2.2試験条件

 加振試験および道床横抵抗力試験の試験条件を表1に示します.加振はステップ加振で行い,加振波形は正弦波(載荷周波数3Hz,10波)および地震波です.地震波は,新潟県中越地震時に新幹線が脱線した際の高架橋天端における応答波としました2)(図4)(以下,中越波とする).また,常時における道床横抵抗力を評価するため,静的な水平載荷試験を行いました.本試験は,加振試験前に,載荷速度2mm/minでまくらぎ長手方向に外軌側へ向かって載荷しました(図5).計測項目は,まくらぎ両端部の変位と横方向荷重です.

    • 表1 試験条件
      表1 試験条件
    • 図5 道床横抵抗力試験の概要
      図5 道床横抵抗力試験の概要
  • 図4 中越波の波形
    図4 中越波の波形

3.試験結果

3.1道床横抵抗力試験

 加振前の道床横抵抗力を図6に示します.まくらぎ変位2mm時における道床横抵抗力は,無対策が8.4kNであったのに対して,バラスト止め壁は1.5割程度,座屈防止板は2倍程度高く,道床横抵抗力が向上することを確認しました.

  • 図6 加振前の道床横抵抗力
    図6 加振前の道床横抵抗力

3.2加振試験

 正弦波700gal加振中のまくらぎ変位波形を図7に示します.無対策は加振の波数の増加とともにまくらぎ残留変位が40mm程度まで急増しますが,座屈防止板およびバラスト止め壁は,まくらぎ変位振幅およびまくらぎ残留変位が非常に小さいことがわかります.

 図8に,各加振ステップのまくらぎ残留変位を示します.なお,まくらぎ残留変位とは,各加振ステップの加振前後におけるまくらぎ変位の差分です.加振加速度が増加するほど,どのケースも加振中に生じるまくらぎ残留変位が増加し,無対策は正弦波700galからまくらぎ残留変位が急増しました.座屈防止板およびバラスト止め壁は,正弦波800galのまくらぎ残留変位が無対策の正弦波600galと同程度でした.また,加振加速度を正弦波900galまで増加させると,大きなまくらぎ残留変位が生じることがわかりました.

 以上より,座屈防止板は,加振前の道床横抵抗力が無対策の2倍程度であったことから,正弦波800galまでまくらぎ変位の急増を抑制し,正弦波900galでも無対策の正弦波700galより小さいまくらぎ残留変位に抑制する効果を発揮したものと考えられます.バラスト止め壁は加振前の道床横抵抗力が無対策の1.5割増し程度でしたが,正弦波800galまでは座屈防止板と同程度の変位抑制効果を発揮しました.これは,バラスト止め壁が道床肩部を拘束することで,加振中の道床横抵抗力の低下を抑制したことによるものと考えられます.また,正弦波900galにおいてまくらぎ残留変位は急増しますが,無対策に比べて十分な変位抑制効果が発揮されているものと考えらます.

  • 図7 加振中のまくらぎ変位波形(正弦波700gal)
    図7 加振中のまくらぎ変位波形(正弦波700gal)
  • 図8 各加振ステップのまくらぎ残留変位
    図8 各加振ステップのまくらぎ残留変位

【参考文献】

1)中村貴久「加振中の道床横抵抗力に関する大型振動台試験」施設研究ニュース No.293 2015.1

2)地震による新幹線脱線シミュレーション解析グループ:新潟県中越地震新幹線脱線シミュレーション解析,鉄道総研報告,特別第52号,2008

(記事:軌道・路盤研究室 中村貴久)

気象データから積雪深を推定する

1.はじめに

 積雪地域では、融雪期に雪崩や斜面崩壊などによる災害が発生する危険性が高くなります。このため、これらの災害が危惧される箇所においては、雪崩防護柵などのハード対策が施されている場合が多くあります。しかし、このような対策工が埋没してしまう大雪時には、十分にその効果を発揮できなくなります。そのような状況下では、巡回警備等のソフト対策が重要となります。ここで、対策工の埋没状況の目安となり得るのが積雪深の情報です。例えば、対策箇所の積雪深が対策工を超えるような状況となった場合には、巡回等の出動判断材料として使用できると考えられます。また、沿線の積雪深の情報は、除雪列車の運行判断や除雪作業の実施計画等、様々な場面で有益な情報と成り得ます。しかし、積雪深は時事刻々と変化し(図1)、場所によっても大きく異なります。そこで、任意の地点の積雪深をいかに入手するかが重要となります。そこで、鉄道総研で開発したモデルによる積雪深の推定方法について紹介します。

  • 図1 積雪深などの観測結果の一例
    図1 積雪深などの観測結果の一例

2.積雪深情報の入手方法

 まず、一般に積雪深情報の入手方法について以下にまとめます。

2.1積雪深の観測

 積雪深の観測方法として、(1)雪尺による方法、(2)積雪深計による方法があります。

(1)雪尺による積雪深観測方法

 雪尺とは目盛りをつけた白い柱のことで(図2)、毎朝9:00などに、目視で雪面の高さを読み取り積雪深を観測します。積雪深観測に昔から用いられている簡易な方法ですが、人的リソースが必要となります。

(2)積雪深計による積雪深観測方法

 積雪深計の測定方式の主な方式は、レーザー式積雪深計と超音波式積雪深計です。どちらの積雪深計も観測用ポールに固定された積雪深計(図2)から発射するレーザーまたは超音波で積雪深を計算します。この方法はデータロガーで自動記録可能なため、長期観測に適していますが、商用電源が必要となります。したがって、コストやメンテナンスの観点から、積雪深計により延長の長い鉄道沿線を網羅する観測体制を構築することは、現実的に難しいと考えられます。

  • 図2 雪尺と積雪深計
    図2 雪尺と積雪深計

2.2 公的機関等による公開情報の閲覧

 積雪深の情報を得る方法として、気象庁のような公的機関がWEBで公開している積雪深情報を入手する方法があります。例えば、気象庁アメダスは全国約1,300地点をカバーする巨大システムです。気象庁アメダスでは、過去数十年といった観測データベースを公開していますが、積雪深の観測点は全国で310地点とその他の4気象要素(気温、降水量、風速、日照時間)などと比較すると少ない状況にあり、鉄道沿線の一部の区間などの局地的な積雪深を把握するためには必ずしも十分とは言えない場合があります。

3.積雪深の推定方法

 積雪深の情報を得る別な方法として、気象データから積雪深を推定する方法があります。鉄道総研では、鉄道沿線への適用を考慮し、一般に入手可能な気象データ(気温、降水量、風速、日照時間)から積雪深の変化を1時間単位で推定するモデルを構築しました。以下に本モデルによる積雪深の推定方法を紹介します。

 積雪深は時間によって変化しますが、その要因としては主に、①降雪による積雪深の増加、②圧密現象による積雪深の低下、③融雪による積雪深の低下の3つがあります。本モデルでは①~③を以下のように考えます

①降水があった場合には、その降水が雨か雪かどうかを気温(雨雪判別気温)によって判別します。雨雪判別気温よりも低い気温下での降水であれば雪と判別し、それを積み重ねることで積雪深とします。

②積雪は自重や上載荷重によって縮みます。これを圧密現象といい、この際に積雪の密度が高くなり、積雪深が低下します。積雪深は、積雪の密度を基に推定するため、積雪深を正確に推定するには、圧密現象を考慮することが重要となります。本モデルは、圧密現象を粘性圧縮理論1)を参考にすることで考慮し、1時間単位で各積雪層の密度(kg/m3)を推定し、各積雪層の層厚(m)を求め、これを積算することで積雪深を求めることができます(図3)。

③積雪は気温や日射によって積雪の主に表面が融解し、積雪深が低下します。本モデルでは、任意の地点の気温と日照時間をアメダスデータを基に推定し、積雪表面の融雪量を推定し、融雪量を考慮した積雪深を最終的に算出します。

 積雪深の観測値の時間変化と本モデルによる推定値の時間変化の一例を図4に示します。両者を比較すると、1冬期を通じて観測値を非常によく再現出来ていることがわかります。本モデルを使用することで、周囲に積雪深の観測点がない場所でも積雪深の情報を得ることが可能になると考えられます。

  • 図3 モデルの概念図
    図3 モデルの概念図
  • 図4 積雪深の推定結果一例
    図4 積雪深の推定結果一例

4.おわりに

 今後は、地域による推定精度の違いやアメダス観測点からの距離による推定精度の変化、斜面の積雪深推定方法などに着目して、広域に適用可能なモデルの開発に取り組んでいきます。

参考文献

1)遠藤八十一ら:降水量データから積雪深と密度を推定する方法,雪氷,Vol.64,No.1,pp.17-25,2002.

(記事:気象防災研究室 佐藤亮太)

鉄筋コンクリート構造物性能照査支援プログラムVePP-RC/PRC(Ver.4.01~4.03)におけるPC鋼材の応力-ひずみ曲線の修正のお知らせ

1.はじめに

 現在,鉄道総研では,「鉄道構造物等設計標準・同解説(コンクリート構造物)1)」(以下,RC標準)に準拠した鉄筋コンクリート構造物性能照査支援プログラムVePP-RC/PRCを販売しています.このたび,平成25年7月以降にリリースしたVePP-RC/PRCのVer.4.01~4.03において,PC鋼材の引張降伏強度の特性値fpykを設定した場合,PC鋼材の応力-ひずみ曲線が適切に考慮されず,曲げ降伏耐力(Myd)および曲げ耐力(Mud)の算定結果に影響があることが確認されたため,Ver.4.04において,PC鋼材の応力-ひずみ曲線の修正を実施しました.

2.PC鋼材の応力-ひずみ曲線の修正について

 RC標準では,PC鋼線,PCより線およびPC鋼棒1号の応力-ひずみ曲線(RC標準 図5.3.3(b))として,一般に図1に示すモデルを用いることになっております(黒線).しかしながら,Ver.4.01~4.03において,応力-ひずみ曲線の第二勾配区間が適切に考慮されていないことが確認されました(赤線).応力-ひずみ曲線の修正に伴う影響は,断面形状やPC鋼材の配置等により異なると考えられますが,一例として,表1に示すPC桁1ケースおよびPRC桁4ケースについて,修正前後のMydおよびMudを比較しました.その結果,PC鋼材の応力-ひずみ曲線の修正により,Mudは影響を受けなかったものの,MydはPC桁で最大5.5%,PRC桁で最大2.2%低下しました.そして,Mydの低下により,復旧性[損傷]の照査値がPC桁で最大0.04,PRC桁で最大0.02増加する結果となりました.ここで,実設計事例(PCT形桁20ケース,PRCT形桁31ケース)を調査したところ,設計を決定する性能項目は,PC桁の全ケースおよびPRC桁の9割のケースで復旧性[損傷]以外でした.また,設計を決定する性能項目が復旧性[損傷]であるケースも,Mydの低下が比較的小さいPRC桁であったことから,今回の修正が設計結果に影響を与えるケースは少ないと考えられますが,VePP-RC/PRCのVer.4.01~4.03で計算したPRC桁につきましては,適宜,設計を決定する性能項目や照査値をご確認いただければと思います.

  • 図1 PC鋼材の応力-ひずみ曲線
    図1 PC鋼材の応力-ひずみ曲線
  • 表1 検討断面諸元の例
    表1 検討断面諸元の例

3.おわりに

 本件に関する修正版VePP-RC/PRC Ver.4.04のリリースは,別途ユーザーの皆様に通知します.通知内容に従い,ダウンロードによるプログラム修正のほど,よろしくお願い申し上げます.

参考文献

1) 鉄道総合技術研究所編:鉄道構造物等設計標準・同解説(コンクリート構造物),丸善,2004

(記事:コンクリート構造研究室 大野又稔)