6.早期地震警報システムにおける新しい地震諸元推定法

 現在、気象庁等公的機関の地震観測網の即時情報(ナウキャスト地震情報)を活用した、新しい早期地震警報システムの開発を気象庁と共同で進めています。
 従来の新幹線用早期地震警報システムでは、単独観測点のP波初動部の周期からマグニチュードと地震の概略の位置を推定し、主要動が施設に到達する前に警報を発しています。一方、新しいシステムでは、最近の地震学等の知見を生かし、P波初動部から地震諸元を推定する方法をあらためて検討しました。その結果、P波初動部の振幅増加率と最大振幅から震央距離とマグニチュードを推定する新しい方法を開発しました(図1)。
 この方法は、従来の方法に比べ、地震諸元の推定精度が向上するほか、地動ノイズにさほど影響されない等のメリットがあり、気象庁のナウキャスト地震情報における地震諸元推定方法としても採用される予定です。
 また、将来気象庁が地震後5分程度で配信する予定の約1kmメッシュで震度が表示される震度分布(図2)を活用した構造物の被害推定手法も検討しています。
 今後は、鉄道総研内にプロトタイプシステムを構築し、実用化に向けた検証試験を実施する予定です。

図1 P波による地震諸元推定方法芸予地震(2001年3月24日発生)
図2 面的震度分布の例



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