7.体力向上による覚醒レベル低下の抑制と簡易型体力測定システム

 覚醒レベルの低下による事故の防止策が求められています。これまで、作業中の覚醒レベルと関係が深い持久性体力に着目し、高体力者は深夜早朝帯における覚醒レベルが良好に維持されることを明らかにしてきました。
 そこで、比較的体力の低い者が持久性体力の向上によって覚醒レベル保持能力が改善するかどうかを実験的に確認するため、体力向上前後での覚醒レベルを比較しました。この結果、約6ヶ月間にわたるジョギングなどの体力トレーニングを定期的に行い体力の向上を図ることで、深夜早朝帯の覚醒レベルの低下を抑制できることが確認されました(図1)。
 また、低体力者が目指すべき体力レベルを提案するため、運転士約600名を対象に体力データと疲労感および健康のデータとの対応関係を分析しました。この結果をもとに、健康な運転士の体力レベルの平均値を体力向上の目標値として提案しました。これは40歳の日本人男性の平均的な体力レベルと一致しており、比較的軽度な体力トレーニングを継続することによって容易に達成でき、健康維持にも好ましいレベルです。
 同時に、腕時計式心拍計を用いた簡易な体力測定システムを開発しました(図2)。これにより、体力の自己管理が容易になるとともに、低コストな体力測定が可能となりました。

図1 フリッカー値の変化
図2 簡易型体力測定システム



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