1.在来線電車の高速域電気ブレーキ力の向上

 現在のインバータ電車では、主電動機およびインバータの容量制約のため、高速域におけるブレーキ力の多くを空気ブレーキに頼っています。高速域における電気ブレーキ力を増大できれば、制輪子やライニングの交換が少なくなり、保守コストを低減できます。そこで、インバータと主電動機(誘導電動機)の間に、安価な抵抗器を挿入することにより、高速域での電気ブレーキ力を大幅に増大させる方法を開発しました。これは回生ブレーキ時にインバータと主電動機間に抵抗器Rを挿入(図1)することにより、主電動機端子電圧を上昇させて、高速域の電気ブレーキ力を増大させるものです。一般的な近郊電車を模擬した定置試験では、1.37Wの抵抗器を挿入した場合、定トルク域の電気ブレーキ力が高速域に拡大されることを確認しました(図2)。シミュレーションによれば、3Wの抵抗器の挿入により、定トルク域が最高速度まで拡大され、高速域において空気ブレーキの補足を必要としないことが予想されます。さらに、3M5T編成電車に対し、ブレーキエネルギー処理能力(減速度3km/h/s、満車)が現行の約1.7倍となることもわかりました(図3)。

図1 主回路システム

図2 定置試験結果
図3 高速域ブレーキエネルギー
の内訳(130→80[km/h])



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