10.新しい転てつ減摩器と分離型転てつ機

(1)新しい転てつ減摩器
 転てつ減摩器は、分岐器のポイントが転換する際にローラーによる転動を利用してポイント転換力を低減し、電気転てつ機の転換不能を回避するための重要な機器のひとつです。しかし、従来の転てつ減摩器は、ローラーの高さの調整に熟練と時間を要するという問題がありました。そこで、弾性ポイント(60kg有道床用)を対象に、ローラーの高さを自動調節する機能を持つ新方式の転てつ減摩器を開発しました(図1)。この転てつ減摩器は、ばねと特殊な機構を採用することにより、トングレールの状態に合わせてローラー高さが自動的に変化するため、従来のような調整が不要です。その結果、熟練者による調整に頼ることなく、確実にポイント転換力を軽減することができます(図2)。新しい転てつ減摩器はすでにJRで数百台敷設されています(図3)。

図1 ローラーの高さ調整が不要な
新しい転てつ減摩器
図2 新しい転てつ減摩器による
ポイント転換力軽減効果


図3 60kg弾性ポイント16番での実用化例

(2)分離形転てつ機
 NS形と呼ばれる在来線で最も多く使用されている電気転てつ機は実用化されて35年になります。最近、熟練技術者の減少や作業間合いなどの減少等、保守環境が大きく変わりつつあり、保守軽減化、小型軽量化、性能向上等の機能が求められています。
 このため、特殊なクランクを用いて列車横圧等の外力を負担させ、機構の簡素化を図るとともに、電気転てつ機を転換機と鎖錠機に分離する全く新たな方式(図4)を開発しました。これにより、転てつ機の重量が現用機の345kgから250kg(転換機123kg+鎖錠機127kg)へと軽量化することができました。すでに、側線における耐久試験(図5)を実施し、性能を確認しました。小型軽量な分離型転てつ機の導入により、安全、迅速かつ低コストで取り替えが行えるようになるとともに、機構部の摩耗が軽減され、転換機のメンテナンスフリー化も実現可能となります。また、転換機、鎖錠機、クランク等の配置の自由度が増すことにより、全ての分岐器に柔軟に対応可能になります。今後は本装置を本線上の高速分岐器に取り付けて耐久試験を実施する予定です。

図4 分離形転てつ機の
基本構造
図5 側線での耐久試験



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