7.複合材料製摩擦部材のリサイクル技術

 鉄道の環境負荷低減の一環として、ブレーキライニング、パンタグラフすり板などの複合材料製摩擦部材のリサイクル技術を開発しました。これらの部材は成分が複雑であること、発生量が年間100t程度であること等によりリサイクルが困難であるとされていました。
 まず、銅系焼結合金製ブレーキライニングや銅合金を含浸させたカーボン系すり板に含まれる銅などの金属成分の分離条件を検討しました。ブレーキライニングは窒素雰囲気中1300℃、3時間保持で金属成分が分離すること、金属成分回収率は約50%となることがわかりました。回収した金属は85%の銅を含んでいます(図1)。
 すり板は1100℃以上で炉中保持すると金属成分回収率が増大すること(図2)、熱処理前に適度に粉砕することにより回収率が増大することなどがわかりました。回収した金属は85%の銅を含んでいます。
 以上の検討結果を踏まえて、発生量が比較的少ない摩擦部材でも処理できる現実的な方法として銅精錬プロセスを選定しました。事前の処理条件を検討し、銅精錬プロセスの転炉への投入により、銅などの金属を資源としてリサイクルできることを確認しました。上記により、使用済みのすり板およびブレーキライニングを経済的にリサイクルすることが可能になります。
 なお、本研究は国土交通省の補助金を受けて実施しました。

図1 ブレーキライニングの
抽出金属の成分組成
図2 炉中保持温度と金属成分回収率の関係



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