10.建設発生土を利用した流動化処理土

 地下鉄や駅部の建設では、大量の建設発生土が生じます。その有効利用の促進が社会的に強く要請されています。
 従来、建設発生土は流動化処理され、開削トンネル等の埋戻し材に用いられてきましたが、脆いことが積極的な利用を阻む要因となっていました。そこで、品質と靱性の向上を目的として、梱包ベルト材に使用され、定品質で安定して確保が可能なポリプロピレン(以下、PP)繊維に着目し、これを混練した流動化処理土を開発しました。
 列車荷重を繰返し載荷した耐久性試験では、一軸圧縮強さqu=2000kPaの流動化処理土とPP繊維を組合わせることにより、シールドトンネルのインバート(覆工コンクリートの底盤部分)に用いられているqu=6000kPaの流動化処理土と同程度の耐久性が確保できることがわかりました(図1)。また、PP繊維の混入により初期剛性が増加し、流動化処理土の弱点であった最大強度発生後の脆性的な割裂破壊から、せん断破壊に形態が改善されることがわかりました(図2)。なお、従来の流動化処理土に比較して、PP繊維を混入した流動化処理土は、セメント量が低減されるため、約40%の材料費のコストダウンが可能となります(表1)。

図1 PP繊維有無による耐久性の比較
図2 流動化処理土の破壊パターン


表1 流動化処理土1m3あたりの材料費



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