3.地震時における石積壁の変形・崩壊メカニズム

 兵庫県南部地震以降、さまざまな構造物に対して大規模地震を想定した耐震補強対策が進んでいます。しかし、鉄道における石積壁については、地震時における石積壁の挙動が未解明であるため、安定性の評価ができない現状にあります。そこで、地震力により石積壁が崩壊するメカニズムを明かにするために、模型石積壁を用いた振動台実験を行いました。
 実験の結果、基礎地盤が堅固な場合は、慣性力により石積が前方へ変位することで背面の裏グリ石の沈下が発生し、徐々に壁体の変形が累積して最終的な崩壊に至る(転倒モード)こと、一方、基礎地盤が軟弱な場合は、石積壁の下部が前面に押し出され崩壊する(滑動モード)ことが明かとなりました(図1)。
 これらの変形・崩壊モードを考慮して、地震時に発生する裏グリ石の沈下を抑制する対策または基礎部の水平抵抗力を強化する対策を施すことによって、地震時の石積壁の変形・崩壊を防止できる目途を得ました。 




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