8.高速車両構体部材の疲労強度評価

 鋼製新幹線車両構体における疲労損傷は、高速化に伴うトンネル内のすれ違い時の気密構造車両の内外圧力差に起因して発生します。近年の高速車両の構体は軽量化のためアルミニウム合金製となっていますが、それらの溶接継手を含めた疲労強度に関する評価基準が明確ではありませんでした。
 そこで、270km/hで走行する現用車両において負荷が大きいと想定される代表的な溶接継手として、中空押出型材の溶接部、屋根たるきと長けたおよび側柱と側はり補強溶接部を選定し、これらを模した試験体により疲労試験を行い、応力発生回数を考慮する疲労設計線図を作成しました(図1)。また、構体気密荷重試験時の車内外圧力差と発生応力の関係および走行試験時の車内外圧力差とその発生回数から、使用期間中の応力範囲と発生回数を推定し、作成した疲労設計線図から求めた累積損傷度により寿命の評価を行いました。この結果、現状の使用状況であれば実用上問題ないレベルであることが明らかになりました。今後さらに高速化される場合には、疲労損傷度が限度に近い状態になることが予測されますが、この疲労設計線図を利用することによりその評価が可能になります。今後は、他の継手についても疲労設計線図を作成し、構体の評価基準としてまとめて行く予定です。




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