10.既設コンクリート構造物の健全度評価システム

 近年、高度経済成長期に建設されたコンクリート構造物の経年劣化が社会問題となっています。そこで本研究では、現場での運用を重視した、効率的で信頼度の高い総合的な健全度評価システムを開発しました。全体システムの概念図を図1に示します。システムは各種非破壊検査機器と支援プログラムから構成される測定システム、各種評価・照査プログラムから構成される評価システム、およびこれらの測定/評価データを管理するデータベースとから構成されます。
 測定システムについては、全国の鉄道構造物を対象に実証試験を行いました。具体的には、ひび割れの画像処理による自動認識の検証と撮影方法の標準化、電磁誘導法による鉄道構造物特有の過密配筋に対応したかぶり測定方法の検証(図2)、ドリルによる中性化測定法の検証と測定手法の標準化、ドリルによる含有塩分量簡易測定法の検証(図3)と標準化など、簡易で精度の高いシステムの構築及び標準化を実証データに基づき実施しました。
 評価システムについては、「建造物保守管理の標準」、「鉄道構造物等設計標準(コンクリート構造)」に準拠し、各種プログラムの開発・検証を行いました。具体的には、荷重相当値、等価繰り返し回数などの外力評価、中性化、塩害、累積疲労損傷などの耐久性評価(図4)、材料劣化を考慮した耐久照査などの各種プログラムを開発し、統一的な健全度評価を可能としました。
 これらの成果により、今後の構造物検査の検査業務の効率化、高精度化ができます。








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