12.パンタグラフ接触力測定法

 パンタグラフには菱形やシングルアーム等、様々な形状が存在していますが、新幹線・在来線のほぼすべての形状のパンタグラフについて走行中の接触力を測定する手法を開発しました。接触力はパンタグラフのある断面に生じる力(断面力)と慣性力および揚力から求めます。このうち、断面力は舟体の歪みや復元ばねの荷重等から求め、慣性力は舟体に取り付けた複数個の加速度と等価質量から求めます(図1)。ヨーロッパ等ですでに実用化されている1個の加速度計で慣性力を求める方式では有効測定周波数は20Hz程度ですが、今回開発した手法では40〜50Hz(一部の型式では約100Hz)まで測定可能で、より高い精度の計測ができるようになりました。
 また、従来測定が困難であった舟体に作用する揚力を、断面力とトロリ線偏位から推定できるようにしました。推定した揚力は風洞実験から得られた真の揚力とよく一致していることが確認できました(図2)。このように高い精度で揚力を推定することにより、接触力をより正確に測定できるようになりました。 接触力は集電性能の定量的な評価に使用できるほか、トロリ線の張力や局部摩耗、応力過大箇所等の推定に利用できるため、今後の電車線診断に大きく貢献することが期待されます。






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