8.交流BTき電回路の地絡保護用保安器

 在来線交流区間のBTき電回路では、トロリ線地絡事故時に駅構内の電柱等の対地電位上昇を防止すること、および変電所で事故検出を確実に行うことのために地絡保護用保安器が負き電線と保護地線間に接続されています(図1)。しかし近年、正常き電時に保安器が放電し焼損するというトラブルが起きています。この原因は、正常き電時のサージ電圧により保安器が放電し、そのときに発生する交流放電電流(続流)のアーク熱に起因していることが分かりました。サージ電圧による放電は正常な動作ですが、このときに続流が流れることが単体ギャップの従来保安器(図3)の弱点です。そこで今回、この続流を抑止する機能を持った新型の保安器を開発しました。
 新型保安器は図2、図4に示すように、セラミック放電管(放電開始電圧AC2500V)と酸化亜鉛素子(動作開始電圧1800V)を直列に接続した放電部を2個並列に金属電極に挟む構造となっています。現地試験等により新型保安器は続流を阻止し、保安器の焼損を防止することを検証しました。現在、新型保安器を営業本線において試使用し、実用を目指しています。



図1 保護地線方式概略図


図2 新型保安器の基本構成

図3 従来保安器

図4 新型保安器



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