1.在来線車両の空気抵抗低減量の評価

 在来線車両の軽量化が進んだ結果、走行抵抗に対する空気抵抗の占める割合が大きくなっています。そこで、空気抵抗低減のための対応策を提案し効果を示しました。
 本研究では車両形状の改良による空気抵抗低減量を風洞実験により評価しました。風洞実験では車両周りの流れを再現する必要があります。境界層吸込装置および移動地面板を用いて、車両床下の流れを再現しました(図1)。また、模型の上流にスパイアを取り付け、車両の屋根上の流れを再現する方法を提案しました(図2)。
 以下に10両編成の通勤型電車の車両形状を改良した場合の空気抵抗低減量を示します。
(1)床下部 在来線車両の床下機器を一つの大きな機器として考え、その大きな機器の縦横比と位置を変化させました。その結果、増減量は±10%に達することがわかりました。
(2)先頭・後尾部 切り妻型の先頭・後尾部を流線形に改良する方策では、車内空間や出入り口の確保を考慮し、改良部長さの最大値を車両幅の1/2以下とする条件下で、低減量が最大20%に達することがわかりました。
(3)屋根上部 各車両に搭載され空気抵抗への寄与が大きいユニットクーラーに、単純なフェアリングを取り付ける方策で最大9%の空気抵抗低減効果があることがわかりました。
(4)省エネルギー 先頭および屋根上の改良に対しては、近郊区間を想定した電車の走行シミュレーションの結果、11%の省エネルギー効果があることがわかりました(図3)。


図1 移動地面板および境界層吸込装置を用いた風洞実験(大型低騒音風洞)


図2 屋根上の流れを模擬した風洞実験
(小型低騒音風洞)

図3 省エネルギー効果
(先頭、屋根上の改良)




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