5.トロリ線設備の動特性評価手法

 トロリ線凹凸を精度良く連続的に測定する方法が開発されています。しかし、静的に測定した架設状態に対して、架線の修繕を必要とするか否かについては、架線構造やパンタグラフ条件、走行速度などによっても判断が異なっていました。そこで、トロリ線の凹凸測定結果に基づいてパンタグラフ走行時の接触力変動などを推定することにより、動特性の面から架設精度を定量的に評価・診断する手法を提案しました。
 トロリ線内を伝播する波動の影響を動的に考慮するため、架線・パンタグラフ運動シミュレーション手法を併用して、パンタグラフの接触力やトロリ線の振動などを求めます。その評価値は現車走行試験結果と良く合致することを確認しました(図1)。この方法を用いることにより、過大なトロリ線押上箇所や歪み箇所、パンタグラフの離線箇所などを定量的に予測することが可能となり(図2)、高速化への対応や修繕箇所、修繕量の特定等、トロリ線の保全の効率化などに寄与できるものと期待されます。


図1 動特性評価の精度(パンタグラフ通過時のトロリ線振動)


図2 トロリ線設備の動特性評価例(新幹線で2パンタグラフ走行の場合)



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