最近、環境負荷に対する関心が高まり、水素をエネルギー源とするクリーンな電源として燃料電池の開発が進められています。そこで、燃料電池を鉄道車両用電源として使用するための基礎的な検討を行っています。
フィージビリティスタディでは、燃料電池を適用した鉄道車両は現行ディーゼルカーと比較してアイドリングストップやブレーキエネルギーの再利用の効果も含めてエネルギー消費量を1/2以下に、発生二酸化炭素量を約30%に低減できることがわかりました。
燃料電池の基礎的な特性を調べるため、30kW級燃料電池システムを試作し、定置での純水素と空気を使用した発電試験にて出力特性を確認しました(図1)。また、車両試験台に実際に通勤電車で使われているものと同等の電動台車を設置して上記燃料電池システムによる電源で駆動試験を行いました(図2)。燃料電池の出力が実際の鉄道車両と比較して小さいですが、車両試験台側の等価慣性質量を通勤電車の約1/2に、加速度を同じく約1/3(定トルク領域にて1km/h/s程度)に設定した駆動試験を実施した結果、速度50km/hまで駆動することができました(図3)。
今後は、更に大容量の燃料電池システムを搭載した実車両を走行させて、燃料電池の適用性を検討します。
図2 燃料電池による駆動試験
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図3 駆動トルクと速度の関係
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