軌道変位管理では、軌道検測車による測定波形の振幅を指標として軌道変位を評価し、保守量を決めています。この際、軌道変位の評価には、軌道検測車で取得された波形から移動平均処理等によって曲線線形成分を取り除いた波形が用いられます。この取り除かれた曲線線形成分には長波長の通り変位、水準変位が含まれており、曲線通過速度の高い振子列車などでは左右動の原因となります。そこで、軌道検測データを活用して、曲線線形の崩れを管理する方法を開発しました。
この方法は、曲線線形設計や曲線通過速度の検討に用いられる超過遠心加速度算出式に、軌道検測データから得られる、地点ごとの局所的曲線半径と局所的カントを代入して求まる局所的超過遠心加速度(図1)を評価指標とするもので、以下のような特徴があります。
1) 車体重心に作用する力を指標としているので、左右動との関係が明解。
2) 曲線区間だけではなく、直線区間においても低周波左右動との相関が高い。
これによって、乗り物酔いとの相関が高い0.3Hz付近の低周波左右動(図2)の原因となる、以下のような軌道側の要因を抽出することができます。
3) 平面曲線・カントの崩れや直線中の長波長通り変位、水準変位
4) 平面曲線とカントの位置ずれ
本管理方法は、既に一部の鉄道事業者で曲線改良等に利用されています。
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