1.断層を含む広域地盤の地震動シミュレーション手法
  • 断層永久変位を含む地震動波形を理論的に合成する方法を開発しました。
  • 10km〜100km程度の広域の地震動のシミュレーションが可能になりました。
  • 線状の鉄道構造物は複雑に変化する地震動を受けることを把握しました。
  •  鉄道のような長い線状構造物は、地震が発生した場合には、振幅特性、位相特性、振動数特性が異なる地震波動を受けることになります。また、震源断層が浅い場合には、断層永久変位の影響が大きいと考えられます。従って、車両の走行性を含めた鉄道の地震防災対策のためには、このような断層を含む近傍領域の地震動の定量化が必須となります。
     本研究では、地盤は水平成層に、断層の破壊は地盤に作用する外力としてそれぞれモデル化し(図1)、断層を含む地盤全体系の剛性マトリクスを導いて、断層永久変位を含む地震動波形を理論的に合成する方法の開発を行いました。この手法は、従来の手法に比べて、(i) 広域の地震動を面的に計算できる、(ii) しかも効率が良い(高速・安定)、という相反する条件を両立できる点が特徴です。鉄道のような線路施設では、面的・線的に地震動を評価できることが重要であり、本手法が有効です。
     図2は横ずれ断層を対象として地震動の時間的・空間的変動をシミュレートした例です。地表面に時計回りと反時計回りの渦が現れ、その渦が断層の破壊方向に伝播しています。その結果、数100mの領域で逆方向に大きい振幅が現れるなど、複雑な空間分布となっています。このような渦が伝播していく現象はこれまで考慮されておらず、地震波の伝播特性と地盤・構造物の応答や車両の走行性との関係などが評価できるようになりました。なお、本研究は国土交通省補助金を受けて実施しました。また、本研究の遂行にあたっては、宮崎大学の原田隆典教授に貴重な御指導をいただきました。ここに感謝の意を記します。





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