5.新幹線の地震時脱線対策
  • 新幹線の地震時脱線対策に関して、逸脱防止策として車両ガイド及びそれが有効に機能するためのレール転倒防止装置、地震対策用接着絶縁レール、改良型伸縮継目、脱線を防止する脱線防止ガード、地上側で逸脱防止を行う逸脱防止ガードについて、新幹線脱線対策協議会と連携を取りながら、JR会社、鉄道・運輸機構と共同で開発を進めています。
  • □逸脱防止車両ガイド(L型ガイド)
     脱線車両が軌道から大きく逸脱しないようにするためのL型ガイド(図1)については強度確認を終了し、JR東日本で現車試験が行われました。また、脱線車輪がレール締結装置やレール転倒防止装置に高速で衝撃した場合の車輪の強度評価のために落重試験を実施し、問題のないことを確認しました。

    □レール転倒防止装置
     レール転倒防止装置には、脱線車輪やL型ガイドからの横圧に耐えるとともに、脱線車輪衝突時に破壊しないことの2つの機能が求められます。衝突解析と実台車を用いた衝撃試験などを行い(図2)、平板スラブ用の基本構造を提案するとともに、バラスト軌道用については強度確認試験などを実施しています。

    □地震対策用接着絶縁レール
     JR東日本と共同開発を行い、鉄道総研は試験、調査および評価を担当しました。上越新幹線に試験敷設された地震対策用接着絶縁レール(図3)について調査し、敷設後1年の時期において所要の性能を満足していることを確認しました。

    □伸縮継目損傷防止対策
     伸縮継目の損傷防止対策としては、受けレール端部への衝撃緩和と、受けレールおよびトングレールの転倒防止の2項目について検討を進めてきました(図4)。また、伸縮継目の手前にスロープを設けて輪軸をレール上面に誘導するとともに、敷板上逸脱防止ガードで左右移動を防止する構造についても検討しています。

    □脱線防止ガード
     平板スラブ用・枠形スラブ用脱線防止ガード(図5)の静的載荷試験により、脱線防止ガード支持部の強度に問題はないことを確認しました。また、脱線防止ガード水平変位は許容範囲内となりました。これらの試験結果から、試作したガードは、十分な強度を有しているものと考えられます。なお、バラスト軌道用脱線防止ガードと車両側逸脱防止ストッパについてはJR東海で開発が進められています。

    □逸脱防止ガードの開発
     試作したスラブ用逸脱防止ガード(図6)の載荷荷重200kNの静的載荷試験を行い、十分な強度を有していることを確認しました。また、静的載荷時の逸脱防止ガードの左右変位量は小さく、逸脱防止の機能が損なわれない結果を得ました。枠形スラブ用についても同様の結果を得ました。




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