強風時の運転規制区間や規制用風速計設置箇所の検討に資するため、数値シミュレーションと統計的手法とを組み合わせて、鉄道沿線の最大瞬間風速の再現期待値を100mメッシュで求める方法を提案しました。
本方法では、はじめに気象の数値シミュレーションを行い、この結果を用いて対象地域内の平均風速 (10分間平均風速に相当する) の再現期待値を3kmメッシュで求めます(図1は九州地域の例)。次に、鉄道沿線を対象とした気流の数値シミュレーションを行い、風速分布に及ぼす地形の影響を調べます(図2)。この結果と前述の風速再現期待値とを考慮して、平均風速の再現期待値分布を200mメッシュで求めます。
一方、10分間平均風速の日最大値に対する瞬間風速の日最大値の比(日突風率)を100mメッシュで風向別に推定する式を統計的手法によって求めます。平均風速の再現期待値分布に風向別の日突風率の推定値を乗じ、さらに風向毎の出現頻度を考慮して、鉄道沿線の最大瞬間風速の再現期待値を100mメッシュで求めることができます。
本方法で得られる鉄道沿線での最大瞬間風速再現期待値の分布図を用いれば、強風時の運転規制区間と規制用風速計の設置箇所とを検討することができます(図3)。
|