6.スペクトラム拡散通信による無線測距方式の開発
  • 免許不要の無線装置に測距機能を付加する無線測距方式を提案しました。
  • 20程度の多チャンネルで測距できることを確認しました。
  •  無線免許を必要としない2.4GHz帯のスペクトラム拡散(SS:Spread Spectrum)通信による無線装置に測距機能を付加する無線測距方式を提案しました。スペクトラム拡散通信は、識別コードにあたる拡散符号によって、狭帯域信号を広帯域信号に変換し帯域を共有する伝送方式です。その高い秘匿性と耐妨害性などから携帯電話をはじめとする通信システムに適用され、また電波の伝播遅延時間に基づく測距が可能なためGPS等にも適用されています。
     測距の原理を図1に示します。無線機Aは情報を拡散変調して送信し、無線機Bは受信信号を逆拡散して情報を取り出しますが、この時BはAと同期をとります。次にBは送りたい情報を返信し、この情報を受け取ったAは、元の同期信号との時間差からAB間の距離を求めます。往復通信の遅延時間を測るため測距は一方の無線機でしか行えませんが、無線機が高精度な時計を備えずに済む点を特長としています。測距分解能は、遅延時間測定の単位である1拡散符号の時間幅で決まり、11.6mとなります。現車試験では、見通しがとれれば測距可能距離760m、測距誤差は測距分解能以下との結果が得られ、列車位置検出に応用できることを確認しました。
     また、チャンネル毎に異なる拡散符号を用いる方式による多チャンネル化を検討し、現車試験で得られたS/N比などから、20チャンネル程度を確保できるとの試算結果を得ました。これにより、複々線等、同一無線通信エリア内で多数の列車が走行する場合にも対応できるため、鉄道沿線での様々な応用が可能となります。事例として、鳴動開始時機をきめ細かく制御可能な踏切定時間制御と、地上子が不要な連続制御のATS(図2)を提案しました。




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