兵庫県南部地震では土構造物にも大きな被害が発生し、既設盛土の耐震性の問題が指摘されました。土構造物は延長が長いことから、効率的に耐震補強を行う必要があり、簡易な耐震性の評価方法が求められています。
そこで、耐震補強の必要性を診断する簡易な評価手法を提案するとともに、要注意箇所の選定マップを作成しました。耐震性の評価手法は、関東大震災や兵庫県南部地震での被災事例の検証や土構造物の主要諸元(構造形式、高さ、勾配など)と被害程度との関係、地盤の違いによる揺れやすさなどの調査をもとに構築したものです(図1)。要注意箇所は、想定される地震動から地盤の揺れ方を推定することで抽出します。一例として、内閣から示されている首都圏直下型の4つの想定地震について、それぞれ地域ごとの地震動を用いて作成した震度6強以上となる要注意箇所の選定マップを示します(図2)。
本手法を用いることにより、土構造物の構造形式や形状を基に容易に耐震性を評価することができるとともに、耐震補強の優先順位を明確化することができます。
|