多数の鋼橋の老朽化対策が課題となっていますが、これらの架け替えには多大なコストがかかるともに、列車運行を支障するなどの困難が伴います。そこで、施工性を考慮して、既設鋼橋に複数に分割した床版を設置し合成構造とするリニューアル技術を開発しました。列車間合いで施工可能な本技術は、コストを大幅に削減できるだけでなく、合成構造化による鋼橋の耐荷力向上と疲労の抑制、マクラギ直下の局部腐食の防止等による長寿命化や騒音の低減にも効果が期待できます。
図1に合成構造化の手順を示します。軌道を撤去した後に、長さ3m程度のプレキャストコンクリート製床版を設置します。床版の高さを調整しながら鋼桁と床版を結合し、軌道を敷設します。この施工法により、レールレベルを変更せずに簡易で急速な施工が可能になります。
既設の鋼桁上面にはリベットや腐食による凹凸があります。このため鋼桁と床版の間にモルタルを打設し、すき間を調整した上で、鋼桁と床版を2種類の治具で接合する方法(図2)を考案しました。そして、床版−モルタル−鋼桁間の載荷試験を行い、十分な強度を有することを確認しました。
床版を設置する際、死荷重の増加に伴い、桁や支承部への影響が懸念されますが、支間40mまでの鋼橋に対して本技術が適用可能であることを確認しました。
今後、実施工に向けた検討を進めていく予定です。
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