架線ハイブリッド電車は、電車に搭載したバッテリーにブレーキ時の回生エネルギーを蓄えて力行等に再利用し、省エネ化を図る車両です。車載用バッテリーと架線からの電力によって駆動する電力リサイクル車両技術を応用し、無架線区間も走行可能な試験電車を新製しました(図1)。無架線区間を連続走行するためには、途中駅等で停車している短い時間に大電流でバッテリーを充電する必要があります。
そこで、剛体架線からパンタグラフを介して急速充電する技術を開発しました。車載バッテリーには、軽量で大電流充電が可能なリチウムイオンバッテリーを採用し、温度を一定値以下に抑制する冷却構造とバッテリー電圧600Vで電流1000Aの急速充電機能を持たせた架線ハイブリッド電力変換回路を新規開発しました。また、充電接触点における剛体架線トロリとパンタグラフ摺板の材料を各種組合せ、通電による温度上昇基礎試験を行い、どの組合せでも溶着が起らないことを確認しました。
試験電車を用いてバッテリー充電電流1000Aで60秒程度の停車中充電を行なったところ(図2)、バッテリーの温度上昇値は3℃に抑制でき、接触点の溶着は発生しませんでした。バッテリー電力のみでの走行試験の結果から、60秒程度の急速充電によって距離7km以上、空調など最大負荷時でも4km以上のエネルギー量を充電できることが確認できました(表1)。今後は、バッテリーの耐久性などを確認する予定です。
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