近年、電磁界が人体や電子機器に与える影響に関する社会的な関心が高くなっており、国際機関等でもガイドラインや規格が示されています。鉄道用変電所においては、電気車の力行・回生に応じて負荷が時間的に大きく変動し、また電線路の配置が複雑であるため、新たな検討が必要になっていました。
そこで、鉄道用変電所における発生電磁界を理論計算により評価しました。その結果、主たる発生源は電線路であり、電線路の発生電磁界の計算手法を構築することで変電所周辺の発生電磁界を計算できることがわかりました。この計算結果を実測値と比較し、磁界については両者の誤差は10%程度であること、電界についてはオーダーが一致することを確認しました。
本計算手法により、電磁界低減に有効な対策案を検討しました。図1は、直流鉄道用変電所における整流器出力部からの電線路配置を変更した場合の直流発生磁界を縦横0.5m単位の区画で計算したものです。正の直流母線の間に負の直流母線を配置することで、一般的な電線路配置に比べ発生磁界を約1/3に低減できることが推定されます。
本計算手法を用いれば、変電所の設計段階において発生電磁界の推定ができ、発生電磁界の低減対策を定量的に評価することが可能となります。また、国際ガイドラインや規格の制限値などの発生量目標から、逆に変電所の電線路の配置を決めることも可能になります。
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