経年劣化したコンクリート部材の検査は、打音法が主たる検査手法であり検査技術者の大きな負担となっています。また、打音法は検査技術者の主観・技量に左右され、欠陥の定量的な評価が難しいのが現状です。そこで、コンクリート表面を加振用レーザーにより加振し、計測用レーザーの反射光と参照光の位相差からコンクリート表面の振動を計測することで、コンクリート部材の欠陥を遠隔・非接触で探傷するシステムを開発しました(図1)。パワーの強いレーザーを用いているため、従来用いている反射板を必要とせず、効率的に検査することができます。この手法では、コンクリート部材の欠陥を定量評価するために、健全度の異なる実コンクリート部材に対してハンマー打撃による振動波形を多数収録し、それを解析・分析することで、コンクリート表面から深さ数センチまでの内部空洞や浮き等の欠陥を検出するアルゴリズムを開発し使用しています。 レーザーによる加振・計測システムを用いて、実構造物のコンクリート部材に対して本アルゴリズムの検証試験(図2)を実施した結果、打音試験での振動周波数とほぼ一致したことから、コンクリート部材の欠陥を精度よく検出できることを確認しました(図3)。 今後は、検査位置記録の自動化および検査の高速化を行い、トンネルや高架橋のコンクリート部材の健全度診断の効率化を図る予定です。