8.トロリ線局部摩耗低減に向けた支持構造
  • 電車線の支持点近傍で起きるトロリ線の局所的な引き上がりを緩和し、摩耗を低 減する支持構造を開発しました。

 電車線の支持点近傍では、曲線引金具等によるトロリ線の局所的な引き上がりや支持点高さの不整に起因して、パンタグラフの接触力が過大となりトロリ線の局部的な摩耗が進行しやすい傾向があります。特に曲線区間や高速走行する区間などでこの傾向は顕著であり、保守コスト低減のために改善が望まれています。
 そこで、トロリ線の引き上がりを従来の60%程度に低減できる新型金具と、支持点高さの不整を容易に調整できる機構を備えた新しい支持構造を開発しました。新型金具は材料の構成や形状を工夫し、従来16 度であった取り付け角度を、強度確保や集電特性向上の観点からシミュレーション等により検討し、最適値である9 度に設定しました(図1)。これにより、トロリ線の引き上がり量を抑えることができ、支持点付近においてもパンタグラフはスムーズに通過できます。営業線の曲線区間における試験では、新しい支持構造は従来の支持構造に比べて支持点付近の引き上がりが緩和され、パンタグラフ通過時に発生するトロリ線の曲げ応力の最大値が16%程度低減できることを確認しました。トロリ線の曲げ応力と摩耗率は相関性が高く、応力が低減されることにより、曲線区間においては摩耗率が20%程度低減できると予測できます(図2)。また、支持点近傍のトロリ線の曲げ応力は速度に応じて大きくなりますが、トロリ線の局所的な引き上がりが緩和されるため、高速走行区間においても曲線路と同様に摩耗の低減効果が期待できます。





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