2.車両用地震時脱線防止対策左右動ダンパ

 車両の地震時走行安全性を向上する地震時脱線防止対策左右動ダンパ(以下「地震対策ダンパ」)を開発しました。地震対策ダンパの単体試験時の性能は、通常使用域のピストン速度200mm/secまでは通常ダンパと差はなく、これを超えたところで安定した大きな減衰力を発生します(図1)。この地震対策ダンパの地震時走行安全性向上効果を検証するために実台車加振実験を実施しました(図2)。新潟県中越地震推定波の振幅を増加させながら加振した結果、地震対策ダンパでは通常ダンパに比べて9%程度大きい振幅入力まで車輪がレールから離れないことを確認しました。なお、通常ダンパは加振を繰り返す途中で破損し減衰機能を失いましたが、地震対策ダンパに異常は発生しませんでした。
 シミュレーションにより、実車に地震対策ダンパを装備したとき、走行安全限界振幅(正弦波加振時に脱線しない最大変位振幅)は加振周波数0.3〜3.0Hzで平均1.08倍、最大1.17倍大きくなることを確認しました(図3)。
 また、地震対策ダンパを装備した実車両で速度300km/h超の走行試験を行い、通常ダンパとして機能することを確認しました。