3.脱線後の車両挙動シミュレーション

 大規模地震動等による鉄道車両の脱線を想定した場合、被害を最小にするために脱線した車両を反対線や線路外部に逸脱させないための対策が重要となります。その逸脱防止対策の選択と評価に際しては、バラスト上走行や構造物の不同変位といった様々な影響を考慮できる解析ツールによる効果の定量化が必要不可欠となります。そこで逸脱防止対策の一つである逸脱防止ガードの効果を定量的に評価できる、脱線後の車両挙動シミュレーションを開発しました。
 脱線後の車両と軌道の複雑な大規模接触問題を少ない解析負荷で効率的に表現するための手法として、脱線後の車輪と逸脱防止ガードを含む軌道構造とを台形や直方体で近似する剛体断面モデルを提案しました(図1)。また、これにより、実用的な解析評価が可能になりました。
 この手法を新幹線車両と鉄道構造物との動的相互作用解析プログラムDIASTARSに組み込むことにより、車両、軌道、構造物の相互作用を考慮した総合的な対策効果の検討ができるようになりました(図2)。また、併せて車輪と逸脱防止ガード間に働く衝撃力を求めることができます。
 今後は、本評価手法を線区単位での対策の立案に活用していきます。