6.アーチ型鋼材によるRCラーメン高架橋の梁補強工法

 都市部の既存のRCラーメン高架橋は、建設から多くの歳月が経過し、耐久性や耐震性が不足するため、柱のみならず梁を含めた大規模な補強工事が必要になる場合があります。しかし、運休をともなう大規模な工事が難しいのが現状です。このため、機能を維持しつつ性能が向上できるリニューアル技術の開発が求められています。
 本工法は、施工が難しい梁を補強する工法で、H鋼と鋼板で構成されるアーチ型鋼材を下面に設置し、補強鉄筋をあと施工アンカーにより配置した後、高流動コンクリートを打設して梁を再構築します(図1)。補強によって、不足している曲げ耐力やせん断耐力の向上を図ります。そのため、曲げ補強鉄筋やせん断補強鉄筋、アーチ型鋼材の補強効果を、実物大模型試験等によって検討し、必要な性能を発揮させるための補強設計法を提案しました。曲げ耐力を2倍に増加させた例を図2に示します。
 また、施工時、アーチ型鋼材を吊り型枠として用いて利用できるため支保工が省略でき、従来のRC増厚工法に比べ、工期短縮やコスト縮減を図ることができます。
 本工法は、すでに既存のラーメン高架橋の補強工事に適用されており、良好に施工できることを確認しています(図3)。
 また、本工法は緩やかな曲線状の外観を有しており、景観にも優れています。