7.FRP帯板を用いたトンネル覆工の内面補強工法

 山岳トンネルの補修・補強には様々な工法がありますが、近年、トンネルの内空をほとんど支障しない繊維シート接着工法が、主に剥落対策として施工実績を伸ばしています。しかし、接着剤の硬化までに繊維シートが剥離する恐れがある、変状の進展が確認できなくなる等の短所があります。
 そこで、上記工法と同程度の内空支障で、かつ、施工性、接着剤硬化までの安全性、維持管理のし易さの点でより優れた内面補強工としてFRP(繊維強化プラスチック)帯板接着工法を開発しました(図1)。大型トンネル覆工模型実験により、曲げ圧縮破壊(圧ざ)発生時の変位を約5割大きくできるなどの補強効果を確認しました(図2)。
 また、れんが積み覆工の廃線トンネルで試験施工を行い、作業時間が繊維シート接着工法に比べ約25%短縮できること、下地の凹凸にも非常によく対応できること等、優れた施工性を実証し(図3)、基本となる仕様を提示しました。