1.主電動機軸受のグリース入れ替えによる中間給脂機構

 誘導主電動機の省メンテナンスには、軸受のグリース潤滑寿命の延伸が必要です。その方策の一つに、中間給脂と呼ばれる、主電動機を解体せずにグリースを追加する方法があり、一部の主電動機で行われています。しかし、その場合あらかじめ初期封入量を減らし給脂分のスペースを空けておく必要があり、給脂前の潤滑状態の悪化が懸念されます。また、構造上、給脂量にばらつきが生じます。そこで、従来の方法を踏まえてより効果的な給脂方法を検討し、中間給脂時に、劣化グリースを軸受から遠ざけ、背面の劣化の少ないグリースを軸受近傍に供給できる信頼性の高い給脂機構を開発しました(図1)。この方法では、あらかじめ給脂スペースを空けておく必要がなく、給脂量を正確にコントロールでき、非解体で安定した給脂効果が得られます。
 また、これまで適切な中間給脂の時期について検討されることなく、使用期間を等分した時期に給脂が行われてきましたが、潤滑寿命がくる前の各段階で給脂する効果を比較する基礎試験を行い、最も効果の高い給脂時期として、潤滑寿命の25%程度の時期に行うことを提案しました(図2)。この結果から、在来線での180万km非解体を想定して給脂時期を60万kmに設定し、新しい給脂方法と組み合わせて台上試験を行った結果、非解体で180万km走行に相当する潤滑寿命があることを確認しました(図3)。

※入替給脂機構の開発は、鉄道総研と(株)東芝との共同研究開発契約により実施しました。