5.コンクリート用断面修復材の効果的な品質評価指標

 断面修復材は、コンクリート構造物の補修材として広く利用されていますが(図1)、その評価は主に補修材単体で行われており、構造物へ施工した後の補修箇所全体の耐久性を評価する指標はありませんでした(表1)。そこで、施工後の耐久性を評価するために、コンクリートと補修材との界面に着目しました。
 コンクリート下面に種々の断面修復材を吹付け施工した試験体を作製して、背面側から水を浸透させたところ、短時間で界面から水がしみ出す現象が多くみられました(図2)。これらの試験体について透水係数を求めた結果、水の浸透しやすさはコンクリート単体と比べて最大で100倍以上に達するものもあることがわかりました。実構造物でも、界面から水が浸透することで鋼材腐食を生じる例が多くみられます。この現象は補修材単体の評価では捉えられないことから、新たな品質評価の観点として界面での水分移動抵抗性に着目し、その指標として界面での透水係数を提案しました。
 この指標を用いて品質管理を行うことにより、材料特性に応じた下地処理の工夫や材料性能が向上できるようになり、断面修復材施工後のコンクリート構造物の耐久性をより高め、再劣化を抑制することができます。