6.車体装架型慣性正矢軌道検測装置

 慣性正矢軌道検測装置は、加速度の2回積分が変位になる慣性法の基本原理に加え測定データの処理の工夫により、10m弦正矢の波形が検出できる軌道検測装置です。従来方式の軌道検出装置で3組の装置が必要であった10m弦正矢を1組の装置で出力できるため、装置全体がコンパクトとなり、営業車両への搭載が可能となります。このため、専用の軌道検測車を用いるよりも導入コストが大幅に削減できます。これまでに台車枠に取り付けるタイプの装置を開発し、九州新幹線で実用化しましたが、このタイプは台車の構造によっては装置を取り付けられない場合があります。そこで、車体に取り付ける場合の課題であった変位計の測定範囲を拡大することにより(図1)、車体の床下に取り付けられる装置を開発しました(図2)。これにより取り付ける車両形式の制約が少なくなるとともに、1つの装置を複数の車両で使用することも可能となりました。このように台車装架型、車体装架型の2つのタイプを用途に応じて選択することで、線区の条件に応じた最適な検測システムが構成できます。
 本装置を用いて営業線における検測を繰り返し行った結果、データの再現誤差は標準偏差で0.5mm以下と小さく(図3)、かつ現行の軌道検測車によるデータとの整合性も良く、軌道検測装置として十分な性能を有していることを確認しました。