3.構造物の部材振動特性の推定手法

 新幹線の速度向上や新形式構造物の開発では、構造物の部材振動特性に起因する共振現象の把握や、それに伴う周辺環境への振動・騒音の評価が重要となります。そこで、列車を加振源とする高架橋の部材振動特性の推定手法を構築し、標準ラーメン高架橋、標準桁式高架橋等を対象に200Hzまでの振動特性の評価を行いました。
 本手法では、列車通過時の部材の振動加速度の測定結果を基に固有振動数と振動モードの候補を抽出し、その中から統計的手法により信頼性の高いものを部材の固有振動数、振動モードとして選定します(図1)。本手法を、FEMを用いた部材振動シミュレーションと併用し、より詳細な部材振動特性の検討を行うことができます(図2)。 また、様々な構造形式(137種類)を対象に、開発した手法および部材振動シミュレーションを実施し、各部材の振動特性(固有振動数等)の推定と共振発生の有無を簡易に判定できる早見表を作成しました(図3)。
 これらの成果は、部材の共振に対する使用性・安全性の評価、構造物音及び地盤振動の推定などに活用できます。