3.軌道パッドの緩衝性能評価手法

 レールと車輪の間に作用する力は、レール頭頂面、車輪踏面の凹凸や軌道の不整がある場合には衝撃荷重として働き、振動・騒音の増大や軌道破壊の要因となります。この対策の一つに走行安全性に支障がない範囲でのレール支持の低ばね定数化があり、施工が比較的容易な軌道パッドによる対策が実施されています。しかし従来、衝撃荷重に対する軌道パッドの緩衝性能には、定量的な評価手法がありませんでした。
 そこで、新たに開発した衝撃実験装置(図1)を用いて衝撃荷重に対するレール圧力(軌道パッドに作用する力)を測定することにより、軌道パッドの緩衝性能を評価する方法を開発しました。衝撃実験装置は、6締結装置で支持したレールに対して予め静止輪重相当の力を作用させた上で、重錘(模擬車輪)による衝撃加振を行う装置です。
 この方法により、材質や形状などの異なる3種類の軌道パッドのレール圧力を測定した結果、静的ばね定数とレール圧力との間には相関関係があることがわかりました。一方、材料系Aと材料系Bを比較すると、静的ばね定数が同等のものでもレール圧力に最大で1.5倍程度の差があることがわかりました(図2)。レール圧力が低いほど、軌道破壊等への影響は小さくなることから、軌道パッドの緩衝性能は高いと言えます。このように開発した装置を用いてレール圧力を測定することにより、軌道パッドの衝撃荷重に対する緩衝性能を定量的に評価することが可能になりました。
 今後は、経年品の劣化判定や材料開発に本評価手法を活用する予定です。