4.リニアレールブレーキのプロトタイプ

 渦電流レールブレーキにリニアモータ技術を応用すると、従来のレールブレーキの課題であるレール発熱を低減することが可能となり、更に停電などの異常時でも使用できる動作システムを構築することが可能です。これまでの研究結果を集約し、軌条輪試験用の実規模リニアレールブレーキを設計・製作し、性能を評価しました(図1)。
 その結果、最大6 kN(目標:従来型の実績5 kN値)の制動力が得られること(図2)、軌条輪温度が従来の渦電流レールブレーキと比較して、速度域により20〜50%低減することを確認しました。
 また、リニアレールブレーキを停電時でも動作できるようにするために、補助回路用のバッテリを用いてインバータを起動し、制動動作に必要な電力を自己発電し、その発電電力と制動力を同時に制御するインバータ制御方式を開発しました(図3)。試験の結果、50〜300 km/hで、補助回路(バッテリ)により起動するとともに所定の制動動作が得られることを確認しました(図4)。
 これらより非粘着ブレーキとしての機能・性能に加え、電源などの動作源も他のブレーキとは異なる、完全に独立したブレーキとして成立することを確認しました。