7.山岳トンネルの路盤隆起補強工の設計手法

 山岳トンネルでは、地圧により徐々に路盤隆起が進み、列車の走行性に影響を与えたり、建築限界を支障したりすることがあります。そのような路盤隆起に対して路盤にロックボルトを打設する補強工設計手法を提案しました。
 ロックボルトの本数と長さを変化させた補強パターンについて模型実験と数値解析を実施し、補強工の作用メカニズムと効果的な補強パターンを把握しました。その結果、一般的な条件の複線トンネルであれば、標準的な線路方向の打設間隔である打設間隔1mの場合、長さ5m程度のロックボルトを1断面に4本程度打設すれば良いことがわかりました(図1)。  また、経時的な実トンネルの路盤隆起挙動を表現できる数値解析手法を開発しました(図2)。本手法は、トンネル周囲の地山の強度を経時的に低下させることにより路盤隆起を表現するもので、補強工の効果を、隆起量(mm)や隆起速度(mm/年)として予測・評価することができます。本手法を用いて、要求レベル以内に隆起を抑えるための補強工の仕様を決定することができます(図3)。
 これらの結果と事例調査結果に基づいて、「路盤隆起補強工設計マニュアル」を作成しました。本マニュアルは、ロックボルトの標準的な配置を、路盤の隆起量に応じて選択するもので、容易に補強設計を行うことができます。