3.削正痕低減と削正効率向上を両立させたレール削正砥石

 レールのシェリング損傷の抑制や波状摩耗の除去のために、レール頭頂面を砥石で研削加工する「レール削正」が行われています。レール削正では、転動騒音の発生原因になるレール頭頂面に形成される削正痕を減らすこと、より効率的にレール削正を行うことなどが求められています。これまで、削正車の移動速度や砥石を押付ける角度などの削正方法については検討されてきましたが、砥石そのものの検討は行われていませんでした。そこで、これらに対応できるレール削正砥石を開発しました。
 砥石は、砥粒、結合材および気孔の三要素で構成され、これらを適宜調節することで、加工の目的に適した砥石の性能を調節することができます(図1)。開発した砥石は、砥石を構成する2種類の砥粒の配合率を変え、砥粒の大きさをより大きくすることで削正効率の向上を図りました。また、結合剤の種類を変更し、砥粒自身の摩滅を促進させることで削正痕の低減を図りました。
 開発砥石を削正車に搭載し、実線区での性能確認試験を行った結果、開発砥石では削正痕が低減し、転動騒音レベルを約5dB低減でき(図2)、削正効率は約23%向上しました(図3)。なお、コストは現用砥石と同程度になる見込みです。