6.閑散線区向けの拠点無線式列車制御システム

 主に閑散線区で使用されている電子閉そくシステムは導入から20年以上が経過し、設備の老朽化が進み、一部装置の継続的な使用が困難な状況です。そこで、電子閉そくシステムと同等の機能を持ち、これに置換え可能な、駅近傍などの限られたエリアで地上−車上間の無線通信を行う拠点無線式列車制御システムを開発しました(図1)。
 本システムは軌道回路などの既存設備を活用することで、大規模な設備更新を行わないで置換えできることが特徴です。無線通信には、免許が不要な2.4GHz帯の汎用無線技術を使用しています。また、車載器IDと列車番号との対応付けの方法を提案し、車載器運用の制約解消、乗務員による出発進路要求の省略、列車の早発防止などを実現しました。なお、本システムの進路制御と閉そく機能の導入コストは、自動進路制御機能付きの特殊自動閉そくの85%程度と試算しています。また、車載器を速度照査機能付きATSと接続し、沿線に無線機を設置することで、無線情報により速度照査パターンを消去する機能などを実現できます。この機能を用いれば、踏切無しゃ断時に踏切手前に列車を止めることが可能となり、踏切の保安度向上が図れます(図2)。
 現地試験によって、これらの機能の実現性を確認しました。