5.粒子法による地盤の大変形・崩壊挙動シミュレーション

 近年、流体や固体を粒子の集合によってモデル化する解析手法(粒子法)が発展し、船舶の波浪衝撃解析などに適用されていますが、斜面崩壊や土石流など地盤の大変形問題に対する適用は限定的でした。そこで、地盤を粒子としてモデル化する一方、ひずみの算定は有限要素法と同様に格子で扱うことにより、地盤の大変形・崩壊挙動を評価できる解析ツールを開発しました。また、この手法を用いて、公開されている10m格子の基盤地図情報を可視化ツールに組み合わせ、数kmオーダーの広範囲な領域に広がる土石流の挙動を評価できる計算アルゴリズムを構築しました。
 開発した解析ツールの適用性を確認するため、乾燥砂を用いた地盤の流動模型実験とその検証解析を実施した結果、実験結果を精度良く評価できることがわかりました。さらに、降雨時の土石流流動、盛土の浸透崩壊、地震時の斜面崩壊、液状化による開削トンネルの浮き上がりについて解析した結果を既往の実験結果などと比較したところ、従来の有限要素法では困難であった地盤の様々な大変形・崩壊挙動を精度良く評価できることがわかりました(図1)。