6.RFID技術を利用した地上コイル保守管理手法

 浮上式鉄道用地上コイルは長期間屋外で使用されるため、定期的な保守作業により健全性を確保する必要がありますが、全線に敷設されて数が膨大となるため、RFID(Radio Frequency IDentification:無線による自動認識)技術を利用することにより、保守作業の省力化およびシステムの信頼性向上を目指しました。
 無線タグ(RFタグ)を地上コイルに設置する場合、超電導磁石通過による変動磁場の影響を考慮する必要があります。そこで、1テスラの電磁石を左右に配置した回転試験装置を用いて、磁場環境を再現した試験を行い、RFタグデータに異状が生じないことを確認しました(図1)。また、地上コイルの振動、電圧および温度に対する耐環境試験を行い、選定したRFタグの性能に問題の無いことを確認しました。
 次に、地上コイルの保守に必要な個別情報(製品番号、製造履歴、作業履歴など)を、携帯端末でRFタグに記録/更新できる地上コイル個別情報管理装置を開発しました。この装置を用いることで、現地の地上コイルの保守管理が容易になります。
 さらに、保守用車から地上コイル個別情報を収集することを想定し、実際に走行しながら地上に設置した58個のRFタグを連続して読み取る試験を行い、個別情報を書き込んだ16バイトのデータを、時速約60kmで収集できることを確認しました(図2)。この機能により、車上から製品番号の識別や、作業履歴の確認ができるようになり、地上コイル保守管理手法の確立に見通しを得ることができました。