7.数値標高・表層モデルによる斜面崩壊要注意箇所と落石発生源の抽出手法

 鉄道沿線の自然斜面で崩壊が発生しやすい地形、地質、植生等の条件や落石発生源の地形的な特徴を各種調査により明らかにしました。また、航空レーザ測量により作成した数値標高モデルと数値表層モデルを用いてこれらの要因を数値化し、斜面崩壊要注意箇所と露岩の分布を広範囲かつ客観的に抽出する手法を開発しました。
 地質が異なる複数の地域において、崩壊発生箇所と地形や植生の分布状況を調査・検討したところ、集水しやすい箇所、斜面の傾斜が30°以上の箇所、植生がほとんど繁茂していない箇所で崩壊が発生しやすい傾向があることがわかりました。そこで、数値標高モデルと数値表層モデルから得られる地形・植生データを用いてこれらの条件を数値化し、崩壊の発生への寄与度に応じて重みづけして重ね合わせることにより、斜面崩壊の要注意箇所を抽出する手法を開発しました(図1、2、3)。
 また、落石発生源となる露岩が分布している箇所は概ね傾斜が50°以上で凸状の地形であるため、数値標高モデルから算出した傾斜量と凸状の斜面形状を表す指標を組合せ、露岩を抽出する手法を開発しました(図1、3)。
 本手法は広域の概略調査手法として有効で、これにより防災対策を行う際の詳細調査(現地踏査やシミュレーション等)の実施箇所を絞り込むことができます。