1.鉄道車両のエネルギー消費原単位の簡易計算手法

 鉄道事業者が省エネ計画の作成を行う際には、新しい車両の導入による省エネ効果を適切に見積ることが重要になります。その際に、膨大なデータ入力や複雑な走行条件の設定が必要となる走行シミュレーションを行わずに、簡易にエネルギー消費原単位を計算できる手法を開発しました。
 本計算手法では車両質量、機器効率、平均駅間距離、平均速度等の十数個の基本的なデータのみを用い、走行抵抗による損失や機器損失等を個別に計算して積算することでエネルギー消費原単位を計算します。また、エネルギー消費の内訳も表示します。そのため、より効果的な省エネ施策を検討する際にも役立ちます。本計算手法は単純な走行パターンを想定しているため、特急車両で急曲線や途中通過駅等の速度制限が多い場合など、複雑な走り方をする運用では誤差が多少大きくなる可能性がありますが、通勤電車のような運用であれば比較的精度のよい結果が期待できます。本計算手法を様々な車両と運用に適用して実測と比較し、誤差は10%以下で簡易計算手法としては十分な精度であることが確認できています(図1)。
 本計算手法は鉄道総研のホームページ上で動作するWebアプリケーションとして公開しており、どなたでも使用できます。また、ユーザー毎にカスタマイズした計算プログラムの作成も可能です。