6.ひび割れの検知と評価のための高精度画像処理手法

 これまで、ひび割れなどの変状を抽出する基本的な画像処理手法を開発しましたが、さらに詳細な個別検査を実施するには、変状の発生位置を正確に把握し、変状に応じた精度で情報を提供する技術が課題になっていました。ひび割れを対象に、その境界近傍の輝度勾配を利用するフィルタ処理を適用することで、発生位置を0.5mm程度の精度で検出できる画像処理手法を開発しました(図1)。
 キロ程銘板や下束などのトンネル添架物に対して、画像のスケールが変化したり回転した場合でも形状に対するテンプレートマッチングを適用することで、90%以上の精度で安定して抽出できる画像処理アルゴリズムと、この添架物を基準に変状位置を正確に特定する手法を開発しました(図2)。
 また、ひび割れ密度を算出するために、トンネルの部位に応じてひび割れの抽出精度を変えることで、ひび割れ座標を評価し、精査する画像処理アルゴリズムを開発しました。
 これらの方法を用いることにより、例えばコンクリート剥離検知装置による詳細検査で、検査対象箇所を正確に把握でき、検査位置を精度よく指示することが可能となる等、作業時間の短縮と作業精度の向上が図れます。